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2019年03月06日(水) |  札幌ディープ 112 再掲載 ゆりや食堂
 
鎌田 強
別れるやなくなるにとても敏感なこの頃だ。あすまた会おうと思えば会える友人たちとのすすきのでの別れにも一抹の寂しさ感じる。ノリノリに乗って、周りが見えなくなる時よりもその方が冷静に物事を見ることができると思うがゆりや食堂が閉店と聞いて、いてもたっても居られなくなった。
ゆりや食堂を札幌ディープで取り上げたのは2015年3月だった。あれから4年もたってしまった。去年はテレビの「マツコの知らない世界」のラーメン特集で紹介された。なんとも嬉しく驚いたことを思い出す。
ゆりや食堂は1946年(昭和21年)に開店した。終戦の次の年だ。それから70年以上地域の人に愛されてきた。しかし大正時代に建てられたともいわれる入居している建物の老朽化が激しい。そういえばいつのまにか老夫婦お二人が経営していたあんかけ焼きそばが美味しいと新聞にも紹介された「たくみ」もしばらく前から店を閉じたままだ。
ゆりや食堂は味もさることながらいろんなメニューの小サイズがあるので組み合わせが楽しい。わたしは断然ラーメンに小オムライスだ。いつか若い女子を同伴し「このオムライスかわいいっ」といわせたかった。まだチャンスはあるぞ。あと一カ月半。
ゆりや食堂 札幌市中央区南1条西19丁目1 電話 011(621)4911

2019年02月11日(月) |  札幌ディープ 111 郷菜料理 圓
 
鎌田 強
 この季節になるとテレビの旅番組で秋田の田沢湖近くにある乳頭温泉鶴の湯がよく紹介される。乳白色の広い混浴露天風呂が雪に映え、なんとも風情を感じる。そして、鶴の湯の名物が山の芋鍋。テレビの映像を見るたびにまた食べたくなる。それほど美味しい鍋だ。そんな山の芋鍋を食べられる秋田料理店が澄川にある。ただし、鶴の湯はたしか味噌味、こちらは醤油味だ。郷菜料理 圓は5年程前にオープンした。地下鉄澄川駅から平岸街道を横切り3分ほど。吹雪でもさほど辛くない距離だ。
 秋田県の北側、大館と、南の湯沢あたりで生まれた二人が仙台で出会った。長い間仙台で営んでいた店を札幌に移した。だから圓では秋田県の北と南の、しかも本場の味が楽しめる。
 まんまるい山の芋をすりつぶし、団子状にして煮込む山の芋鍋は県南の味。あっさりとしたしょうゆ味だ。
 もうひとつはせり鍋。仙台のせり鍋がいまは有名だがご主人の実家では昔から食べていたそうだ。しらたき、あぶらげ、きのこと、たっぷりのせり。秋田の料理にはせりがよく合う。奥さんの故郷はきりたんぽ鍋の本場だが今回は見送った。さても、ここの良さは鍋もすべて一人前から注文できることだ。なんともやさしい気遣いだと思う。そして、どちらも秋田式にせりの根っこもたっぷりと入っている。
 そういえば、圓には肉巻きりたんぽというものもある。しかもファンが多い。きりたんぽに甘辛く味付けした豚肉を巻いたものだがわたしは圓で初めて食べた。
 鍋物はみんなでわいわい食べるのは美味い。しかし、圓ではひとり鍋も美味しく、、また楽しい。
郷菜料理 圓
札幌市南区澄川3条3丁目3−1 3−3ビル1F
電話 011-813-7772

2019年01月21日(月) |  札幌ディープ 109 喫茶 ロア
 
鎌田 強

 ときどきチェーン店の喫茶店を利用している。所用と所用の間やちょっと休憩したいときなど、あちこちにあるし値段も安いので手軽で便利だ。しかし、大きな不満がある。隣との距離が近いことだ。田舎育ちのわたしはパーソナルスペースが広い。どうしてもやや硬く、狭い椅子に座るたびにちぢこまってしまう。だから時間に余裕があり、ゆったり過ごしたいときには昔ながらの喫茶店がいいと思っている。

 喫茶ロアは1958年にオープンした。今年で61年。大通り二丁目のビルの地階に広く居心地のいい空間が広がっている。かつて大通り周辺で働いていたOLや札幌で青春を過ごした団塊の世代周辺にはつとに名の知れた喫茶店だと思う。
 名物はビーフシチュー。洋食屋のそれよりもあっさりかも。野菜や肉がたっぷり入っていてお得感に浸れる。
 もうひとつはホットサンド。きんぴらごぼうとゆで卵の相性がいいので
ホットする。
 このまえはかぼちゃコロッケサンドを初めて食べた。パンもコロッケもふわふわだった。
 創業時のオーナーが引退し、自家製パンの販売がなくなったりと往年のファンには少し寂しい部分もあるかもしれないけれど、ロアは変わらず美味しく落ち着く。
喫茶 ロア
札幌市中央区大通西2丁目 陶管ビル地下1階
電話 011-231-1836

2018年12月30日(日) |  札幌ディープ 109 小料理 藁
 
鎌田 強
長年あんこうならば北海道だと思い込んでいた。たぶんそれはあんぎもやあんこう鍋をはじめて食べたのが札幌だったからだと思う。その後、どこであんこうを食べても肝が劣化している味がしたり皮が薄かったりと満足のいくものではなっかたせいで、あんこうイコール北海道の印象が出来上がったのだろう。あんこうで有名なのは茨城県で昔から水戸あんこうなどと呼ばれていることはつい最近知った。
Dさんがあんこう鍋を食べに行こうと「藁」に誘ってくれた。「藁」は3年前にビルの一階にできた。すすきの事情通は第二と第八桂和がつながっているのを知っていて第二から入ると場所がわからなくなってしまう。第八ビル一階の南向きの道路沿いだ。
店主は長年有名日本料理店で総料理長を勤めた谷口さんだ。女将さんと二人で切り盛りする。
あんこうは七つ道具。肝、とも(手羽やひれなど)、柳肉(ほほ肉など)、ぬの(卵巣)水袋(胃)、えら、皮。この七つが入って初めてあんこう鍋といえるのではないか。
あんこうにはからだ身体にいい。ビタミンAやコラーゲンが豊富だ(小学館食材図典より)
このあんこう。鮮度の良さが伝わってくる。
酒付きの気持ちがわかっている先付けも嬉しい。

今夜は女将さんが取り分けてくれた。皮を食むと、なんともこの店そのものの優しく温かい味がした。

小料理 藁
札幌市中央区南6西3丁目
電話 011(215)0335


2018年12月08日(土) |  札幌ディープ 108 オステリア ジリ
 
鎌田 強
 ピザとピッツアは違うという。かつては一律にピザだったけれど、いつのまにかピッツアが主流派になっている気がする。イタリア発アメリカ経由日本とイタリア発日本ということで呼び方や厚みに違いがあるらしいが、どれがピザでどれがピッツアかは判断しがたい。ピザと表記されていたらピザで、ピッツアがピッツアなのだ。少ない食歴からわたしがこれまで一番と思っているのは東京三菱一号館近くのA16の生ハムのピザだった。この店はカリフォルニアが本店のイタリアンということで
表記はピッツアだった。
 お昼時ピッツアが無性に食べたくなったのでオステリアジリに行った。北海道近代美術館の北一条通りを挟んで南側にあるマンションの中二階。以前ここにあったイタリアレストランは美術館側の壁面に大きく店名を書いていたがジリは遠目にはわかりずらいかもしれない。
 開店から一年ちょっと。ジリはますます人気が出てきたらしい。広いとはいえないけれどテーブルもカウンターもいっぱいだ。しかも、女子率100%。店内が禁煙なのも居心地がいいし、フレンドリーながらもわきまえた接客もうれしい。さてここはまず最初に提供される水に驚かされる。透明なピッチャーに色とりどりの野菜が映える。夏にはちょっと青臭く感じたけれど、今はほんのりと漂う野菜の甘みが嬉しい。ミネラル不足の私にはピッタリだ。
 ジリのランチは価値がある。ピッツアかパスタかリゾットを選びセットにする。何人かだったらシェアするのもいいね。結局この日はひとりだったけれど・・・前菜
パンは三種類
ピッツアは何と北海道の海の幸づくし。たちとししゃもとズワイガニにモッツアレラ。もちろんドリンクもついてくる
 カウンター越しに元ピッツア・ローネ料理長の中村さんの姿が見える。その表情と動きがとてもすてきだ。そうだ。夜、ひとりでカウンターに来てみよう。ピッツアの話を聞かせてほしい。
Osteria zili
札幌市中央区北1条西17丁目1-48パシフィック近代美術館前1F

2018年11月16日(金) |  札幌ディープ 107 珈房 サッポロ珈琲館北野店
 
鎌田強
わたしの友人のギタリストSさんは、毎日の仕事終りにチェーン喫茶店の外のテーブルで、冬でもマッタリするのが好きだ。人それぞれに憩いの形態は違うとは思うけれど、理解しがたいこともある。わたしもSさんほどではないがよくチェーン喫茶店を利用する。しかしそれは仕事の準備や時間調整のためであり、のんびりと過ごすという感じのものではない。
先日サッポロ珈琲館北野店に行った。地下鉄南郷18丁目から国道36号線に抜ける道路沿いにあるこの建物は、かつて清田区住まいだったわたしには馴染み深い。明治時代の洋館のようなたたずまいはいつも堂々としているし、品がいいと思う。しかも街中にありがちな止まり木のような椅子ではなく、しっかりと自分を受け止めてくれるような椅子だから落ち着く。
ファミリー向けとは一線を画しているようなメニュー。お点前セット。コーヒーはカップに注ぐと泡が出る。その泡を丁寧に取り除きお客に出すのがいいコーヒー店だと聞いていた。しかしこれは抹茶よろしく水出しコーヒーを茶筅で泡をこしらえているのだ。逆転の発想。しかも器が抹茶茶碗のようでもある。そしてお茶うけ(?)にはカフェオレ羊羹を生クリームで。
 
北野店にはケーキ工房があり旬のケーキが提供されている。最近パティシエがかわり大きさはそのままに甘みを抑えた味に変化してきているという。モンブランはフランスの山から命名されたケーキだ。たしかにボリュームはあったけれど食べられた。この日は栗ではなくチョコレートの山だった。
サッポロ珈琲館は個性的な店が札幌市内に9店ある。北円山店も好きな店だ。
 
珈房 サッポロ珈琲館 北野店
札幌市清田区北野7条1丁目1−1
電話 011-855-6689

2018年10月27日(土) |  札幌ディープ 106 銀座篝札幌店
 
鎌田 強
 土曜の午後、急におでんが食べたくなった。退社時間がお昼過ぎの早番の日のことだ。札幌にはおでんの名店はいくつもあるけれど、こんな時間から開いているおでん屋はたぶんないと思う。しばらくして、おでんの専門店ではないけれどおいしい関西風のおでんを出してくれる店があるのを思い出し行ってみた。ただ残念ながら、店は通し営業だがおでんは午後3時からだという。まだ2時間以上あったので、天才シェフ、アラン・デュカスのドキュメンタリー映画を観に行った。つぎつぎに登場する超おいしそうな料理に胃もココロも極限状態になったところで再訪した。午後3時30分。今日はひとり飲み。
 その店は銀座篝。いわずと知れた濃厚鶏白湯ラーメンで名をはせる有名店だ。
 澄んだ出汁にほろほろの大根。
 つるんとした半熟たまごの出汁には柚子がきいている。
 ここではザンギも頼みたい。三個にタルタルソース付。しかも飲み物が二杯セットになって・・なんと庶民の味方!!

  しかも、おでんやザンギ、水炊きなどおつまみがあるのは札幌店だけとか。なんとも酒飲みには嬉しいことだ。蕎麦屋で一杯もいいけれど、ラーメン屋で一杯もおつなのだ。しかし、あのカルボナーラような濃厚なラーメンを締めとして食べるのであれば、さらにお腹を空かしてからいく必要がある。

銀座篝 札幌店
札幌市中央区北2西3フコク生命ビルB1
電話 011-200-0588


2018年10月05日(金) |  札幌ディープ 105 万菜酒房 源
 
鎌田 強
 河原先輩がパーソナリティーを務めるラジオ番組「多恵子のふたり言」に出演させていただいた。インタビューされる側になることはあまりないことことだが、ひさしぶりにフリートークを楽しんだ。テーマはこの日記で、わたしのディープなお店について話がはずんだけれど、もともと河原先輩もディープな店を愛してる。河原先輩からご紹介いただいた店を日記に書いたこともあれば、昼飲みにご一緒していただいたこともある。
 さて、今回のディープはそんな河原先輩にお連れいただいたお店。源(みなもと)は道通ビル地下にある。道通ビルは正式名称を北海道通信ビルというが道通ビルのほうが親しみがある 。わたしの友人は何人もこのビル地下に馴染みの店を持っている。連日大賑わいの中華料理、つらいサラリーマン時代を慰めてくれたカラオケスナック。鍋料理の美味い寿司屋。道通ビル地下は日々の悲哀を癒してくれる心のタイムトンネルなのだ。
 源は店を開いてまもなく四年。カウンターに小上がりが三つ。見慣れた居酒屋のたたずまいだけれどしっとり感がちがう。ここは「花の里」ではないかと思った。「花の里」はテレビドラマ相棒に出てくるカウンターだけのお店で、右京さんが仕事の帰りに必ず立ち寄る店だ。現実にあるならば一度は行きたいおじさん垂涎の店だ。
 女将ひとりで切り盛りしている「源」では北海道 の旬が食べられる。
見た目もきれいなお通しというより先付け
ゆり根の塩昆布あえ
ニ十センチもある天然ぶりの塩焼きに青大根
美味い日本酒もたっぷり
素揚げ野菜がのった〆カレーを食べたら笑顔が満開
 女将のからから笑う声がこころを軽くする。

万菜酒房 源(みなもと)
札幌市中央区北5条西6丁目第二道通ビル地下
電話 080-7013-3351

2018年09月04日(火) |  札幌ディープ 104 旬の味処 どらちゃん
 
鎌田 強
 たった一度だけでは良さがわらないという店がある。しかし、気になり早く再訪を果たしたいとせつに願う。そんな店に半年ぶりにようやく行くことができた。 
 どらちゃんは西区役所のとなりにある。こんな通りにお店があるのかと思ってしまうほどがらんとしている通りだ。しかし、赤ちょうちんに灯がともるころになれば店内はすぐに活気に満ちる。地元客が次々に訪れ話に花が咲く。
 さりげなく、しかし手を惜しみなくかける肴。たとえばこの秋刀魚。内臓を丁寧に取り除き、お湯で皮をぴんと張ってから味付けし煮込む。臭みはなく、秋刀魚特有の油の味がストレートに感じられる。
 鱈のブリュレは、かしらの身をこそぎチーズと合わせ焼かれる。
 鱈肝の煮付けはフォアグラより上品だ。
 型は小さいが驚くほど美味しい寿都のサバを含めた道内産のお刺身。
 日本酒が嬉しい。しかもわたしの故郷秋田の新政が、まだ一升瓶を販売していた頃の2014年物を寝かせていた自家貯蔵古酒の口開け。
 店主の大友さんは大手スーパーの鮮魚担当から独立し店を始めたという。なるほど魚には詳しいはずだ。どらちゃんは奥さんの愛称。そんなご夫婦で29年
 琴似に住み、どらちゃん愛が深い友人がいう「どんどんこの店が好きになるんですよ」。一目ぼれの恋愛もいいけれど、初めはただすれ違っただけの恋愛も素敵じゃないかと秋の戸口に立ち思う。
旬の味処 どらちゃん
札幌市西区琴似二条六丁目1−30
電話 011-614-1999 

2018年08月12日(日) |  札幌ディープ 103 すし処 多加良
 
鎌田 強
 わたしは行動半径が狭い。車を手放してからますます狭くなった。それを見かねたのかグルメおじさんのSさんが車で月寒まで鮨を食べに連れて行ってくれた。なんでも通い出してから十数年。大将やお女将さんとも馴染み。そんなSさんと食事をすると楽しい。わたしよりちょいと年上だけれど、朗らかだし、小難しいを言わない。だからSさんはほとんどの店の人に愛されている。わたしも愛されたい。
 さて、すしだが札幌には名店が数々ある。ネタで勝負というところもあるだろうけれど、それだけはよしてほしい。ネタで勝負ならおさしみ定食でいいんじゃない。すし屋は職人だからね。ネタに施すさりげない仕事と調和のとれた酢飯の具合。そしてかっこいい握りの動作なんだと思う。月寒のすし処多加良(たから)の大将は愛しそうに握る。お女将さんは品良く優しい佇まい。だから30年以上も愛され続けているのだろう。キャッチフレーズもいい。「心に優しい、体に美味しい」。何組か家族連れもいた。そういえば今日はランチだった。
突出しが出るんだね。やや甘口の熱燗で一杯行きたいけれど・・・
 ソイのすましは白が鮮やかだ。写真だと結構脂が目立つけど嫌味はみじんもない。
 ますには辛口のぬる燗か・・・
 デザートは多加良のオリジナル。とまとのまんま。和風のコンポートといった感じで爽やかな甘さだ。これには甘口の冷でもいいなあ。
 帰りにSさんの家庭菜園に立ち寄った。なんと桃がたわわに実をつけていた。熟したら高級ブランデーをかけて食べてみたい。
すし処 多加良(たから)
札幌市豊平区月寒東1条2丁目10−19
電話 011-855-0330

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