芽を出した牧草を求めて放牧される、春の乳牛。 太陽に向かって青々と育つ、夏の水田。 黄金色に輝き、収穫を待ちわびる、秋の小麦畑。 季節ごとに北海道各地で見られる 美しい農業景観。 これらは農作業がある 春から秋にかけて見られる光景ですが、 実はここ数年、一面銀世界だった冬にも、 北海道ならではの光景が広がっていることを ご存知ですか?
今回のあぐり王国ネクストは…、 まるで地上絵!?農作業に関係する、 冬の北海道ならではの、新たな農業景観に注目! 未来を担うポテトチップにパスタまで… 農業研究の最前線に迫ります!
森崎リーダー 「よく舌がまわりますね~お上手!」
森「100回くらい練習しました」
リーダー 「札幌でも伺いましたよね」
森「札幌の羊が丘に去年8月に伺いました」
リーダー 「札幌ドームの隣の膨大な敷地にお邪魔して 色々習いました。札幌も広かったけど…」
リーダー 「十勝の研究所は…そうだよな! これ(広大な土地)…研究所なんだよな?」
森 「この広大な土地でどのような研究を しているのか学びましょう」
リーダー 「難しい話は苦手ですけどね(笑)」
さて今回のあぐりっこは… もうすぐ中学生になるあぐりっこ2人! 算数や理科が得意な、宮田愛子(アイコ)ちゃんと 農業に興味がある、都愛実(マナミ)ちゃん。 いつもよりちょっと難しい内容ですが大丈夫かな?
森 「具体的に農業のどんな研究をしていると思う?」
マナミ 「品種改良みたいな…? エキスをこっちからこっちに移して おいしくする!みたいな…?」
リーダー「なんのエキス?」
マナミ「美味しいエキス?(笑)」
アイコ 「食べ物の成分を分析して調べたりとか 品種改良とかしているイメージですね!」
森 「大きなトラクターが動いてますけど…」
リーダー 「ただただトラクターがゆっくり 走っているようにしか見えませんけど」
下田さん 「これは“雪踏み”といって 雪を踏んで潰しているところです」
ジェシチャーをしながら説明する下田研究員。
リーダー 「雪をつぶしている?」
なぜか下田研究員のジェスチャーが うつってしまったリーダー(笑)
下田さん 「ここはジャガイモを植えていた畑です」
リーダー 「もともとはジャガイモ畑なんだあ。 それを重機で雪を踏み固めてる。 何のために??」
下田さん 「ジャガイモって収穫する時に こぼれることがあって それが芽をだすことを“野良イモ”と言います」
下田研究員の指先に注目! 野良イモを人差し指を立てて表現(笑)
リーダー 「その野良イモとトラクターが 結びつかないんです」
下田さん 「雪が積もっていると 土の中がすごく暖まってしまうんです。 雪を圧縮することで 土を凍らせようとしているんです」
あぐりっこ「ええええ」
リーダー 「雪は逆に土にとって暖かいんだ」
リーダー 「でも、ふわふわの雪がギューってなっても 変わらないじゃないかな?」
下田さん 「でもやっぱり… ふわふわの布団より せんべい布団の方が寒いですよね?」
リーダー「あはははは」
森「そりゃそうだ(笑)」
実際に土の中がどのくらい凍っているのか 調べてみると…
あぐりっこ「硬い!」
リーダー 「土だとしたらもっと柔らかいよね」
リーダー「凍っている土は何cmですか?」
下田さん 「凍ってる土の深さは… かなり深いです」
かなりざっくりですね下田さん(笑)
リーダー「いやちょっと…(大爆笑)」
もう一度、改めて…
下田さん 「30cmあると野良イモを 確実に退治できる深さと言われています」
リーダー 「そうなんだ… それを先に聞きたかった!」
しかし、除雪車や特殊な器具が必要になるため、 トラクターにタイヤを取り付けた雪踏みの方が、 手軽でコストダウンになると、 その違いを検証しているんです。
下田さん 「野良イモは死滅するか?土は凍るか? まだ分からないこともあるので 今研究しています!」
リーダー「成果はどうですか?」
下田さん 「あっ成果ですか?それはもう… 成果あがってなかったら ここで説明してないですから!」
リーダー 「なるほど! いきなり強気になりました(笑」
北海道ならではの、冬の壮大な農業景観、 「雪踏み」について学んだあぐりメンバー。 このほかにも様々な研究があるということなので…
改めて、芽室研究拠点・領域長の吉永優さんに、 その内容について聞いてみます。
吉永領域長 「今は馬鈴薯・小麦・てん菜・そばを中心にした 畑作物の研究をしています」
リーダー 「どれも広大な畑が必要になる作物ですよね」
リーダー 「農業だけじゃなく 面白い人の研究もされているのですか?」
面白い人とは…もちろん下田研究員!
吉永領域長「この前に色々あったみたいで…」
リーダー 「あの下田さんって人は素晴らしいですね」
吉永領域長「そうですか。ありがとうございます」
リーダー 「あの方はどうやってできたんですか?」
吉永領域長 「ここは多様性を大切にする研究所なので 組織の活性化の源泉となっております」
リーダー 「なるほどですね。 ちゃんとお答えいただけるとは(笑)」
リーダー 「二人は見たり食べたことあるものある?」
アイコ 「ジャガイモはある! キタアカリとかインカのめざめとか!」
リーダー「よく知ってるねえ」 森 「家庭にあるものがここから開発されている!」
じゃじゃん もんすけです! 広大な畑で研究を行う、 芽室町の農業研究センター。 こちらは無人航空機「ドローン」を使った 研究者の杉浦綾さん。
10台以上のドローンを駆使して、 農作物の成長を定点観測しているんだって~
3Dや赤外線の映像を集めて、 病気が発生した作物を特定できるような、 画像解析システムを研究しているんだよ。
広い畑を見回らなくてもいいようにと、 生産者を思った研究技術、 もっともっと広まるとうれしいよね~
畑作物を中心に研究を行っているということで、 続いてはこちらの温室へ…
リーダー 「お邪魔しま~す。色々なってるよ」
研究員のひとり田宮誠司さん。 温室には、たくさんの鉢が並んでいますが、 こちらで行っている、農業研究とは…?
リーダー 「すごいキレイに何か咲いてますね」
アイコ「え~何だろう?」
マナミ「花がめっちゃキレイ」
アイコ「ズッキーニとか?」
田宮さん「ズッキーニではないです…」
マナミ「ジャガイモ?」
田宮さん「その通りです!」
パチパチパチ…
そうなんです! 冬の温室で栽培されていたのはジャガイモ。 しかし、一般的なジャガイモの栽培とは、 まったく違う目的が…!
森「ジャガイモ育てるのにこういう風にする?」
田宮さん 「普通はしません。 普通はどうやって植えますか?」
アイコ 「土に種イモを埋めて育てる!」
田宮さん 「はいそうですね。 私たちはジャガイモの新しい品種を つくっているので… 花を咲かせて種を取るんです」
リーダー「ジャガイモの種??」
品種改良には、種イモではなく、 種そのものが必要ということなのですが、 一体、ジャガイモのタネとは…?
田宮さん 「この花に花粉をかけることで こんなかわいい実がなるんです!」
アイコ「え~トマトみたい!」
田宮さん「切ってみると…」
アイコ「本当にトマトみたい!」
田宮さん 「この小さいのがジャガイモの種!」
リーダー「これがジャガイモの種ですか!」
田宮さん「これが実物の種です」
リーダー 「これだああああ~ 初めてみた!すごい!初めてみた!すごい! これ普通みれませんよ、なかなか」
田宮さん 「これが新しい品種を作るもとになる!」
森「こんな小っちゃいんですね」
ジャガイモの品種改良の場合、 既存の種イモでは、 同じ特徴のイモができるので、 タネそのものを変える必要があります。
そのため 違う特徴の雄しべと雌しべを掛け合わせて、 できた実からタネを取るんです。 こうして、毎年およそ300通りを掛け合わせ、 新品種が出来るまでには、大変な年月が…!
田宮さん 「種を取ってから約11年かかります!」
リーダー「いや~~ん」
リーダー 「1歳の頃からやってた研究が、ようやく…」
あぐりっこ「えええええ(ため息)」
マナミ「かなり時間かかる…」
アイコ「大変そう…」
さらにそこから、 スーパーで買えるようになるまでには、 ご覧の過程をたどります。
研究所でできた種から、 原原種(げんげんしゅ)と呼ばれる、 病気のない種イモがつくられます。 そこから種イモ栽培農家、 そして、ジャガイモ生産者に渡り、 私たちが食べるジャガイモが出来あがるんです。
なんとここまで、 20年近くの歳月がかかっていたんです!
リーダー 「このイモをモリサキと名付けようと思う。 それがスーパーに並ぶまでに20年かかる…」
森 「販売される頃にはリーダーはおじいちゃん…」
リーダー 「やかましいわっ!! まだいて良かったわ…」
さて調理室に移動してきました!
品種開発に欠かせない、食味試験。 1つのジャガイモを4通りの食べ方で食味します。 種類によって、その適性が変わるということで、 どの食べ方が適しているのか、 今回は2種類を食べ比べてみることに…
田宮さん 「これは食味試験なので味付けはしていません」
リーダー「そうですか…塩は?」
田宮さん「使わない…」
リーダー「では今日は特別に塩を…(笑)」
まずは蒸したイモ1番をいただきます。
アイコ「あま~い♪ザ・イモって感じ!」
森「では2番のイモをいただきます」
もぐもぐもぐ…
アイコ 「1番よりも味があまりしない? 食感が結構しっかりある感じ」
リーダー「どっちが好きですか?」
あぐりっこ「1番ですね!」
リーダー 「僕も100倍くらい1番がおススメです」
森 「好き嫌いを当てるものではありません」
調理時間などはまったく同じなのですが、 蒸したり煮たりした場合は、1番の方が好評価。 しかし… ※訂正のお詫び※ 放送の中で「蒸かしたイモ」と「水煮」の 紹介字幕を誤って逆に表記しました。 皆さんにお詫びし、訂正いたします。
田宮さん「揚がりました」
リーダー 「ずいぶん…色の変化が出てますね!」
まず1番を食べてみると… みんな「甘くておいしい」という感想。
さて2番は…表情がガラリ!
リーダー「全然違うね!」
アイコ「美味しい!」
リーダー「すんげーイモの味でてんぞ! 」
さらに、ポテトチップも1番は…
アイコ「苦い…」
リーダー 「1番って水煮にして めちゃめちゃ甘かったイモですよね? 苦い!!」
さて2番のイモを食べると…
リーダー 「なまらうめえ~! さっきまでなかったイモの味が 揚げたことでグワンと出てきたよ」
ということで、 1番は蒸したり煮たりして食べる品種を目指し、 2番はポテトチップやフライドポテトなどの、 加工用品種を目指しているジャガイモ。
実は甘味があるジャガイモを油で調理すると、 苦味に変わってしまうんです。 こうして、調理特性を見極めながら、 より高品質のジャガイモを目指しているんです。
リーダー 「すごいわかりやすい 2種類でやってくれたんですよね」
田宮さん「そうです。
森「何種類くらいでやるんですか?」
田宮さん「200種類くらい…」
リーダー「えええええええ」
森 「200品種のチップスを揚げて 食べるってことですか?」
田宮さん「そうです…」
リーダー「塩もつけずに?」
田宮さん「そうです!」
リーダー 「今これ美味しいぞって思うじゃない。 でも商品として食べられるのは何年後?」
田宮さん 「また約7年くらいかかるので…」
リーダー 「7年後だ!いくつになってる?」
あぐりっこ「19歳…」
リーダー「まだ若いなあ~~(笑)」
続いてジャガイモとはまた別の温室へ…。
こちらは、研究員の八田浩一さん。 冬の温室で行われている研究とは?
森「暖かいですね」
八田さん 「20℃くらいです。 麦に穂が出ていいよって知らせるために もう6月だよ!という温度にしています」
リーダー 「あっ!嘘をついてる訳ですね?」
八田さん「そうそうそう」
森「言い方!!」
八田さん 「いいなあっていう品種があった時に… あはははは! もうちょっと!って時があるじゃないですか」
リーダー 「私達に合わせて話して下さっているのね(笑)」
八田さん 「一昨年、十勝のパン用の品種が ほとんどとれなかったんです。 雨が1か月くらい続いちゃって…」
リーダー「あの6月の長雨だあ」
八田さん 「今一番チカラを入れているのが 雨が降っても実がつく品種です」
リーダー 「マナミ将来こういう仕事どうだい?」
マナミ「やるのは楽しそう!」
アイコ「細かい作業が大好きなんです!」
普段は、この交配作業を6時間ほど行うそうで、 集中力と丁寧さが求められるんです。
ほかにも、小麦粉としての適正を調べるため、 生地の強さや、粘り具合など、 1年で数百種類を研究しているんです。
森 「私達の前には小麦を使った料理を ご用意いただきました。 この料理に使っている小麦は まだ市場には出回っていないんです!」
リーダー 「いち早く試食することになりますね」
まずは、もっちりした食感と、 歯切れの良さを目指している小麦でつくった、 ペペロンチーノのパスタを…
ではいただきま~す!
アイコ 「モッチモチ!すごいモッチモチ! 私、細麺派なんですけど すごい太麺も好きになりました!」
リーダー 「すごいコシがありますよ!」
八田さん 「ありがとうございます! そこを頑張らせて頂きました!」
リーダー 「北海道産の小麦でコシを出すのは難しい。 噛むごとに小麦のあま味が 口の中に広がりますね。 商品化しようかな!」
森 「ちょちょちょちょ。どの立場?」
続いては、もちもちふわふわ食感の 既存の品種「ゆめちから」を、 さらに向上させようという小麦の食パン。 一体、その味は…?
リーダー「香りが素晴らしい」
あぐりっこ「うわっ♪」
リーダー「これ枕元に置いて寝たい!」
森「いや~でもそのレベル!!」
マナミ 「めっちゃ美味しい♪ 普段食べてるパンよりモチモチしてて 香りが強くて美味しいです!」
リーダー 「めっちゃうまいんじゃない? 何も付けなくてもパンとして美味しい! もうゴールじゃないですか?この小麦」
八田さん 「小麦自体にすごく可能性があるので 少しでも引き出すのが 僕らの仕事と思って…」
森「こんなに向上心持ったことない…」
森さん急にどうしたの(笑)
リーダー 「ダメな人に映ったよ~」
地道な努力を積み重ね、生産者を影で支えている、 北海道農業研究センター。 改めて研究員の皆さんの思いとは…?
吉永領域長 「新しく特色のある品種をつくって 北海道の農業を豊かにしたい! これが大きな思いです! 食べていただいて 喜んでいただける言葉や表情が 我々の原動力になっていると思います」
リーダー 「よければいくらでも原動力になります!」
お・ま・け
人工交配ロケの最中ですが…
森「遊ばないでください!」
八田さん 「まあ40代半ば以降必要になってくる…」
みんな大爆笑!
研究員のみなさんはどんな質問にも キチンとお答えいただける 素晴らしく面白い方々でもありました!
【お知らせ】 来週3月31日放送は特別番組のため 4時30分からのスタートとなります! ご注意ください! ---------------------------------- 3月17日のクイズ 「田中酒造が製造している本みりんの商品は、 なんという名前だったかな?」
正解は「魔法の一滴 本みりん」でした。