NA(森結有花アナウンサー)
今月7日、北海道大学。
「生産者も消費者も安いものがほしい」
「地産地消じゃないけど日本で作ったものは 日本で食べられる仕組み… ただそれで日本の消費者が食べるか…」
「どれだけ品質が良いものを作っても それには価格が上がっていって…」
「うちらの地域は長イモとか輸出はしてるけど それでも中国とかのほうが安いんですよ… だから勝つには安心安全なものを作るのが 一番の武器というか…」
農学部の講堂に集う、学生たちと生産者たち。 日本の農業について熱く意見を交わしている、 この集まりは一体?
十勝地区農協青年部協議会 寺島 達記さん 「折からの台風が接近している中での 開催となるんですけど… 一泊二日で十勝の農業の魅力を 余すとこなく…とはいかないかもしれませんが 存分に味わって体感して 色々持って帰っていただけたらと思っています」
北海道大学大学院 農学研究院 小林国之准教授 「わずか1日の体験でその後の人生が変わった! という学生も何人か時々います。 それが良い方向に行ったか分かりませんが(笑) 色んな方向に変わるきっかけに なるんじゃないかな」
「平田さん長嶋さん。 受け入れ盟友(農家)は須藤さんです」
学生のグループ分けと、 その受け入れ先が発表されます。 番組では道外出身者の女子学生2人と、 今年初めて受け入れを引き受けた 生産者に注目しました。
「吉田と申します。よろしくお願いします」
更別村の畑作農家・吉田明史さんと、 北大農学部2年の片岡真友美さんと 神山明日香さん。
吉田さん 「ちょっと緊張感がお互いありますけど じき何とか打ち明けられると思いますので よろしくお願いします」
(リーダー) 生産者の吉田さんにご挨拶が済みました。 片岡さんと神山さん、 この2人も初顔合わせなんですね。 このプロジェクトは 「仲良しグループの思い出作り」の ためのモノではないんです。 主催者側は、学生と農家それぞれに、 どのようなことを感じてほしいのでしょうか?
神山さん 「小林先生からメールが来た時点で これ絶対面白そうだなって思って 行こう!と思いました」
片岡さん 「私もメールを見て面白そうだったんですけど 一人だったら不安だなって… 応募を迷ってたんですけど 同じ学科の友達が興味ある!と言っていたので 一緒に行こうといってきました」
長野県出身の神山さんと、 滋賀県出身の片岡さん。 2人はどうして北海道で農業を学びたいと 思ったんですか?
神山さん 「私は農学部に行きたいなと思って それで北大がいいかな~って… おっきなこと言うみたいになっちゃうんですけど この先一番大切になっていくのが 農業じゃないかなと思うから。 そういう関係で自分が何かやりたいなって」
吉田さん 「ここが家です。妻です!」
奥様の恵さんと長男の遥紀くん 「寝起きなの!」
吉田さん 「部屋は自由に使ってください」
まだ緊張ぎみの二人…
吉田さん 「ちょっと落ち着いたら仕事しましょう」
二人「…はい…」
さあ!いよいよ農作業の始まりなんですけど、 台風は大丈夫かな…
さてトライしてみますが…
神山さん「ん?えっ?ん??」
なかなか抜けません。
吉田さん「大丈夫?」
やっと1本収穫できました。
神山さん 「うおおおお~でかい!すごい大きい」
吉田さん「これが砂糖になります」
吉田さん 「かなりつらいと思うんで」
片岡さん「歩きづらい…」
吉田さん「これでも葉っぱが元気ないんで…」
片岡さん「なんか雑草が見当たらない」
吉田さん 「なんか収穫とかできればよかったんだけど 横の畑。黄色っぽいっちゅうか… あれが小豆を収穫した後」
吉田さん 「小豆落ちてますね… 今年は天気悪かったから豆は小っちゃいよね。 もっと本当は背が大きいんだけど 小さいし収量も少ないです」
神山さん「この黒い模様みたいのは?」
吉田さん 「濡れてカビみたいな…。 ちなみになんで昨日やっちゃったか。 ちょっと濡れてるの触ってみて」
吉田さん「全部小豆です!」
神山さん・片岡さん「すごーい」
神山さん「触っていいですか?」
吉田さん「どうぞどうぞ!」
二人とも「すごーい」を連発。
吉田さん 「あんな鞘に何個かしか入っていないのに こんなに…。 豆も物によって品質・等級が決まって 値段が変わってきます。 適期収穫をしていかないとモノが悪くなる!」
吉田さん 「扇風機!ダクトで風を送って乾燥させる。 うるさいからびっくりしないでね」
ブオオオオオオ
吉田さん 「たまたま豆がありました。 さっきベチャベチャだったでしょ。 これ乾燥している豆」
片岡さん「割れそう」
吉田さん 「ちょっと揉んだだけでパラパラっていくしょ。 今まだ雨降ったりして空気湿ってるけど いつもなら触っただけでバリっといきます!」
小豆の収穫は体験できませんでした。 でも、貴重な話をたくさん聞けたし、 何よりホームステイというイベントが あったとしても、 最優先するのは作物の品質だという、 生産者の心意気。 こちらは多いに伝わったんじゃないでしょうか。
神山さん「この黄色いのって何ですか?」
恵さん 「カボチャ団子!イモ団子のカボチャバージョン」
吉田さん 「今日は疲れた? あまり作業はしてないと思うけど 二人が満足してくれたかなって。 あまり仕事なかったから心配なんだけど…」
片岡さん「すごい大満足です」
吉田さん 「他の家はなんか一労働力として働いてる!」
吉田さん 「親の時代から比べたらラクになってる。 小っちゃいときの思い出とかあるけど あのまんまだったらねっ 農家やってないかもしれない!」
恵「嫁に来ない!」
神山さん「あははは」
こうして、ホームステイ初日が終わりましたが、 この夜、天候が悪化しました。
吉田さん 「明日は何もできない前提なので うちのジャガイモ・メークインを使って イモ団子みたいなの作って… ピザなんかも作れたらいいかな!」
片岡さん「でかいですね」
恵さん「これがメークインの形なの」
片岡さん「イモ料理だったらどんなの?」
恵さん 「煮崩れしづらいからカレーとか煮込み料理!」
片岡さん「肉じゃが?」
恵さん「そうそう!
吉田さんの畑で採れたじゃがいもで、 いも団子を作ります。 いもモチという名前の方が、 ポピュラーかもしれませんけど、 十勝地方では「いも団子」と呼んでいるみたいです。
片岡さん 「みなさんイモ団子作るんですか?」
恵さん 「作る!買うもんじゃないもん。作るもの!」
吉田さん 「親のほうからくるんだ。作ったからって! けどとんでもない量が来るからさ!(笑) 食べれないよと思って(笑)」
恵さん 「1個2個茹でてつぶして丸めて お味噌汁に入れたりカレーに入れてもおいしい。 少ないんだったら電子レンジでもできる!」
片岡さん 「前やった時、電子レンジでやってみた」
吉田さん 「どうぞ召し上がりください」
片岡さん「おいしいです。イモ感ある」
翌日。帯広で「退村式」が行われました。
なんだかんだと、あっという間の2日間でした。 それぞれ何を感じてくれたんでしょうか?
生産者さん 「ぜひこれからも農業の応援団でもいいし 実際に働いてくれてもいいし ぜひこれからも活躍してもらいたいと思います」
「作業が終わった後に色々話をしたら みんな将来のことに関して すごく考えているんだなって。 僕ももっともっと農業に関して 考えていかなきゃいけないなって感じました」
神山さん 「楽しかったです! いろいろ話ができて いろいろ聞けて、来てよかった」
片岡さん 「本当にあっという間の二日間でした。 農家さんらしい農作業は 全然できなかったんですけど 農作業をしてない時は何をしているか、 本当に農家のありのままの姿を 体験させていただくことができて 本当に楽しかったです」
この日、2か月前を懐かしむために 集まったのではありません。 農業について、それぞれの立場からの意見を 交換するためです。
テーマは「市場開放に負けない農業」。
学生 「生産者も消費者も安いものが欲しい」
生産者 「地産地消じゃないけど日本で作ったものは 日本で食べられる仕組み… ただそれで日本の消費者が食べるか… 安いほうに目が行っちゃうんじゃないか…」
学生 「安いけど品質のいいものが欲しいって わがままばっかり言ってて。 でも農家が大変なことは知らないし…」
日本の農業をリードする北海道で、 農業を担う現役バリバリの生産者が、 毎年こんな取り組みを行っているんです。 改めて北海道の農業の未来、 なまら楽しみですね! ------------------------------------ 12月8日のクイズ 「冬至の時期に食べ頃を迎えるカボチャの、 ブランド名は何だったかな?」
正解は「りょうおもい」でした。