それは縄文時代。 中国・インド・ミャンマーが接している 山岳地帯から伝わったとされ、 私達の先祖が改良を重ねながらも、 毎年行ってきた大切な農作業。
日本の食文化を語る上で 決して外せない作物。それは…
森崎 「今年もこの季節がやってきました。 米作りを学ぶぞ~」
今年もやります、米作り! 過去5年にわたり体験してきた米作り企画。 第一弾の今回、 まずは貯蔵の秘密を学びます。
さてお勉強する町はどこかな…?
佐々木 「私達は空知の美唄市にやって来ました!」
森崎「いい場所だな~」
佐々木 「見晴らしが良いですよ~ では一緒にお米について勉強してくれる あぐりっこを呼びましょう~」
佐々木 「今シーズンお米について 一緒に勉強してもらいます」
森崎 「お米ってどんな作業があるかな?」
カイト「忙しい!」
藤尾 「『どんな作業がある?』って聞いているのに “忙しい”と答えてくれました!」
まずは今、私たちが食べているお米について 学んでいきましょう。
最初にあぐり一同が向かったのは 米どころ美唄市を象徴するような大きな倉庫、 『JAびばい 雪蔵(ゆきくら)工房』。 案内していただくのは、 JAびばいの小山学さんです。
小山さん 「よく言われます!」
さて冗談はそこそこに 美唄市のお米の特徴は何でしょう?
森崎 「でっかいなあ~! 『雪蔵工房』は雪のエネルギーを使って お米を貯蔵する場所なんだって~」
小山さん 「こちらには4つの倉庫が入っていて 各倉庫に雪にちなんだ名前がついています。 白銀の蔵、樹氷の蔵、大雪の蔵…」
藤尾「本当に大きな施設なんですね」
小山さん 「今回は粉雪の蔵に入ってみますね」
では蔵の扉をオープン!!
あぐり一同「うわ~広い」
森崎 「小学校のグラウンドぐらい あるんじゃない?」
そんなひろ~い蔵の中に お米が山のように積まれていました。
森崎「これ1つはどのくらいの重さ?」
小山さん 「この袋には約1トンの米が入っています。 今この部屋に1000個、 約1000トンが入っています」
藤尾「米1000トンだってよ!」
森崎 「今年の米が出来るまでは 去年収穫したお米を食べる必要があるもんね」
小山さん 「今年の収穫までには空になっていますよ!」
森崎「そうか~!」
袋に入った米を見せてもらいましたよ。
森崎 「いつも食べているお米と違うかな?」
コウキ「茶色っぽい!」 ミスズ「色が違う!」
森崎「どうしてだ?」
コウキ「精米されていないから?」
森崎「そう!すごいねえ~」
小山さん 「白い状態を“精米”と言うんですが 精米のまま倉庫に保管してしまうと どうしても鮮度が落ちてしまいます。 なのでこの倉庫で一年中玄米で貯蔵して 鮮度とおいしさを保っています!」
袋の中にはお米の温度“穀温”を計る 温度計まで設置されていました。
森崎 「やっぱり貯蔵っていうのは 欠かせないものなんですかね?」
小山さん 「絶対、欠かせないものだと思います。 一定の温度(5度)と湿度(70%)で 保管しています。 この環境が整っていなければ お米も美味しいものは提供できない…」
「貯蔵の大切さ」について学んだところで リーダー、あることに気がついた!
森崎 「みんな大変だ!雪蔵工房なのに 雪がないぞ!探して探して…」
ウロチョロ探してみると 冷たい風が吹き出ている通気口を発見。 ここにはどんな秘密が…?
ミスズ 「冷たい風がきている!」
カイト 「涼しくて快適になる!」
森崎「夏もこんなに涼しいの?」
小山さん「夏は寒いくらいです」
森崎 「この壁の中に雪が入っている?」
小山さん 「雪は別の場所にあります」
森崎 「別の部屋に雪があって そこから空気を送り込んでいる?」
「冷気を送り込んでいる」とは 一体どういうことなのか?
雪が入っているという別の倉庫に 案内してもらいました。
森崎「すっかり防寒対策しました」
小山さん「この中は真冬状態です」
では貯雪室の扉をオープン!すると-
あぐり一行の目の前に巨大な雪山が出現!
森崎 「うわ~すごいな~こんなにあるんだ。 あっちまでずっとだよ!」
藤尾「体の芯まで冷えるんちゃう?」
一歩踏み入れると-
森崎「うわ~うわ~中は冬です!」
藤尾「空気冷たい!」
カイト 「なんかロッククライミングするべえ~ みたいな感じになる!」
森崎 「ロッククライミングするべえ~」
森崎 「(蔵では)冷風が出てましたよね。 ってことは風を送っているってこと?」
小山さん 「そうです。お米が貯蔵されていた倉庫に 冷気が送られているんです」
小山さん 「雪をみて何か気がつくことないかな? あぐりっこさん!」
カイト「茶色っぽい!黒っぽい!」
ミスズ 「土が付いたみたいになっている」
森崎「そうだねえ」
小山さん 「空気を循環させているので その空気中の不純物が 雪に付着するようになっています!」
佐々木「雪はとけないんですか?」
小山さん 「とけないです! 少しずつ解けてしまうんですけど 倉庫を囲っておりますので 低温で雪が保管されます」
森崎 「もしこの雪が北海道に無い!とします。 でもお米は貯蔵しなちゃなりません。 雪が無かったらどうなりますか?
ミスズ「米の鮮度が保たれない」
森崎 「そうだね。じゃあ鮮度を保つためには どうすればいい?」
カイト「北極とかから持ってくる!」
森崎 「それは凄いお金がかかるよね! これは天然の冷蔵庫です!凄いな~」
今年一年間、米作りを学ぶ美唄市には 農業スピリッツを感じさせる 逸話が残されていました…
佐々木 「中村豊次郎という人の名前知ってる?」
びばいっこ2人「知りません…」
佐々木 「中村豊次郎(とよじろう)さん。 1871年10月に三重県に生まれた方。 若くしてアメリカに行き、 戻ってきて仏教の道へ… なんとも型破りな青年だったんです」
中村豊次郎が今の美唄市に入植したのは 23歳の時、1894年。故郷の農家24世帯と共に 先発隊としてだったといいます。
翌年には「みなさん、よく来てくれました。 今日からここが故郷です」と、 600人の農民を迎え入れたそうです。
ここに大規模な中村農場が誕生!
しかし…
森崎 「あの人達の周りは全部“水”ですか?」
佐々木 「この地域は石狩川の氾濫が非常に多くて 何年も水害に悩まされてきた地域でも あったんです…そんな災害を、 豊次郎さんは逆手に取ります!」
イギリスからマシンを取り寄せて、 石狩川から組み上げた水を水田に引き入れよう
当時としては とても大胆な計画を発表した豊次郎。
前例のない取り組みに周囲の人たちは大反対。 できるわけないという意見が圧倒的でした。
森崎「100年以上も前のことですか 簡単なことではなかったとおもいますよ」
1912年、豊次郎の計画は大成功を収めました。 そして全道に中村の名前を轟かせたのです。
美唄市内でも「西」に位置するこの地域。 地名を「中村」と言います。 豊次郎の功績を称え、 名前を残したということなんです。
佐々木 「熱い想いは私達あぐり王国も一緒ですから! その想いを胸に、この土地で今シーズン 米作りをしていきませんか?」
あぐりっこ「はい!」
森崎「頑張るぞ~おー!」
では早速、お世話になる 中村地区のお米生産者さんのみなさんに 挨拶にいきましょう!
森崎 「大勢、お集まりくださり ありがとうございます!」
佐々木「中村地区のみなさんです!」
森崎「すごいハウス群ですね」
伊藤範明さん「全部で20棟あります」
森崎 「どなたのハウスなんですか?」
伊藤さん 「中村地区の農家が10軒集まって みんなで共同で苗を作ってます」
これは育苗のハウスの環境作り。 苗を育てるには土の温度を 上げなければいけません。
今はまだ温度が低く湿っているので 荒く掘り起こし土を乾燥させます。 こうすることで苗が育ちやすくなるのです。
掘り起こした土をみてみると- 森崎 「ちょっとシットリしているわ。 こういうのを乾かす必要があるんだ」
伊藤さん 「簡単に土がポロポロッとなるまで 乾かしたいんです」
蓋を開けてみると水が循環しています。
森崎「なんだなんだ?これ」
この中に大切なアレが入っているんです。 探してみると…
伊藤さん 「種がいっぱい入っています」
あぐり一同「うわ~~!」
伊藤さん 「袋に入れてこぼれないようにしてます。 この作業を【芽出し】と言います。 12度ぐらいの水に10日間浸けて、 その後32度ぐらいの水で20時間。 そうすると良い根が出てくるんです」
森崎「そうなんだ~」
芽を出しやすくするための芽出し作業。 温度管理だけではなく、 水の鮮度にもこだわっています。
伊藤さん 「“種もみ”も空気が必要! 古い水だとだめなので定期的に水を 入れ替えなければなりません。 そのためにいったん水を抜いて 入れ替える作業をします」 藤尾「すごい量の袋入ってますよね?」
伊藤さん「40袋ほど入ってます」
早速あぐりっこに袋を運ぶお手伝いを お願いしました。
もみ種袋は1つ8キロ。 大人でもなかなかの力作業です。 この時期になると伊藤さんたちは 3日に1回、この作業をしています。
育苗ハウスの環境整備から、 芽を出しやすくするための芽出し作業など、 米作りには苗を作る前から 様々な仕事があるんです。
5月中旬には、いよいよ田植え。 おいしいお米が収穫できるように お手伝い頑張って~
一生懸命がんばったあぐりっこ。 全部完了しました!
カイト 「疲れちゃったけど楽しくて まだまだやりたいくらい!!」
森崎「まだあるよ袋!」
カイト「ええ~~」
お手伝いを頑張ったあぐりっこにご褒美! 美唄市中村地区の郷土料理をいただきます。
佐々木 「設立して16年になる【えぷろん倶楽部】の みなさんが腕を振るってくれました」
えぷろん倶楽部 伊藤 裕美子 「郷土料理“中村のとりめし”です。 この地域では100年以上前から 食べられているというか受け継がれています」
釜のフタを開けると… モワッと煙の中から黄金色に輝く 「とりめし」が登場!
あぐり一同「うわ~~」
伊藤さん 「鶏のコクを大事にしています。 若鶏ではなく親鶏を使うとコクがでます」
※鶏のコクを引き出すために 内臓とお米を一緒に炊いているんです。
卵の黄味のようなものは?
伊藤さん 「鶏のお腹の中にある卵の“卵”」
良い香りが部屋中プンプン…♪ ではみんなで「いただきま~す」
ユズ「(ニッコリ)♪」 コウキ「メッチャおいしい」 カイトも箸が止まりません。
佐々木「味付けがちょうど良い!」
あぐり一同をとりこにする 「中村のとりめし」 誕生のきっかけは諸説ありますが、 当時の貧しい農家の人たちが 遠方からやってくるお客さんに 「美味しいものを振る舞いたい!」 ということから知恵を絞り 考えついたものと言われています。
そんな“おもてなしの心”は 今も受け継がれていています。
今回料理を作っていただいた 「えぷろん倶楽部」の皆さんは 実は中村地区の農家のお母さん達! 毎朝、交代でとりめしを作り 市内のお店で販売しているんだって~
こちらのお料理は「鶏モツ」。
伊藤さん 「こちらは出汁を取り出すために 一緒に炊き込んで、(取り上げて) 刻んで塩コショウしたものです」
コウキ 「なんか食べたことなかったから とても美味しいです!」
あまりの美味しさに なんと美唄っこはあっという間に完食!
森崎 「さすが美唄っ子はとりめし食べるの早い!」
最後に伊藤さんからこんな食べ方が…
伊藤さん 「我が家ではおじいちゃんとかが 生卵をかけて食べたりだとか…」
森崎 「卵かけとりめし??」
やってみると…これが激ウマッ
ということで、 あぐりっこもさらにとりめしをおかわり! お箸が止まりません… -------------------------------------------------- さて、いよいよスタートする米作り。 今年も美味しいお米ができるかな~