(小声で…) こんばんは、あぐり王国です。 今回やってきたのは十勝の本別町。 実はある生き物に会いにきたのです。
森崎 「みんな見える?探して!」
佐々木 「いるんじゃない?」
河野 「いるいるいる!」
エゾシカ!
時刻は夜の7時。 町に近いパークゴルフ場や、 ビート畑に出没していたんです。 ほんの30分ほどの撮影で 20頭ものエゾシカに遭遇しました。
森崎 「カエデ…本物のシカだよ」
カエデ 「本物のシカだね」
森崎 「エゾシカを学ぼう~!! みんな気合入ってるなあ~」
河野 「勉強できそうだなあ~」
さてココで1つ質問です。 「アーバンディアー」って知ってますか?
森崎 「なんかマンションの名前みたい」
伊吾田先生 「アーバンとは都市という意味なので 都市部に出てくるシカのことを 《アーバンディアー》と言います。 最近増えているんですね…」
ここで1枚の写真を見せてくれました。
伊吾田先生 「これは交通事故で大けがをしているシカです。 場所は札幌市内です!」
一斉に「ええ~札幌??」
この写真が撮影された場所は… なんと札幌ドームの近くなんです。
森崎 「国道36号線なんですか」
伊吾田先生「そうです」
河野 「あそこってシカいるんですか?」
森崎 「あそこらは“羊が丘”だよね」
伊吾田先生 「今は《シカが丘》って呼ばれています」
去年のアーバンディア―による事故は30件。 今年はもっと増えているんです。 シカの問題はこれだけじゃなく…
他にも列車や自動車との事故も 増加の一途をたどっています。 さらに農産物の被害も多く、 なんと驚きの被害額なんです。
伊吾田先生 「なんと全道で被害が年間50億円」
森崎 「年間50億円?? せっかく出来かがった作物が ほんとは意図していないモノに 食べられてしまうっていうのは… かなり深刻な問題ですよね」
ここで先生からクイズです。
伊吾田先生 「北海道の東部には何頭のシカがいるでしょうか」
モエリちゃん 「100頭?」
トキオ君「3000頭」 ユウマ君「5000頭」 カエデちゃん「6000頭」 モエリちゃん「やっぱり7000頭」
さて実際の数は-
伊吾田先生 「北海道東半分で25万頭!」
あぐりっこ「ええ~~(とメモ取る)」
伊吾田先生 「残りの西半分にもソレと同じか… もっといるかもしれないと…」
森崎 「ということはまだ調査できていない?」
伊吾田先生 「そうなんですね」
赤い点はエゾシカの生息が確認された地域。 道東に多くいたエゾシカは2002年には、 ほぼ北海道全域で確認できるまでに増えました。
なんと今では全道に65万頭もいると 言われています。
なぜこんなにエゾシカが増えてしまったのか? いくつか理由が考えられます。
さらに近年は大雪が減っているため、 冬でも餌に困らなくなりました。 エゾシカにとってはとても住みやすいのです。
伊吾田先生 「しかも増えるもう1つの背景として 繁殖力が非常に高い! シカは2歳になると毎年1頭産み続けます。 妊娠率が100%です。 増加率を考えると4~5年で倍増する! という恐るべき繁殖力です」
さてここまで話を真剣に聞いてきたあぐりっこ。 どうしたらこの問題、解決できるかな?
ユウマ君 「もうちょっと減らす工夫をしたほうが良いと思う。 外国とかからハンターを呼んで…」
佐々木 「日本人の力だけじゃなくてね…」
伊吾田先生 「いい視点だと思います! いいアイデアです」
森崎 「“ゴルゴ13”的な人をよんでね!」
ほかのあぐりっこからも 『このままでは大変』 『何とかしないと』という意見が出てきました。
実は今回訪れている十勝の本別町は エゾシカによる被害が深刻な町。 シカ対策に手を焼いているという 山田さんの畑にお邪魔しました。
河野 「シカはどの辺に住んでいるのですか?」
山田裕実さん 「コノ山の中に住んでますよ!たくさん! 今朝もいましたよ」
山田さん 「ココにはシカがいっぱいいます。 (人がいなくなると)出てきて悪さをします。 小麦を食べたり… 春の収穫時期になると(小麦の)穂を食べる!」
森崎 「大変ですね… ちなみにネットがあるんですが…」
山田さん 「シカが入らないようにネットを張ってるんです。 2メートルの高さがあるんですよ。 しかしこのネットをシカは 飛び越えます!」
森崎 「はっ?うそでしょ?」
山田さん 「2~3日前にも飛び越えるのを見てます!」
河野 「しかも畑を全部囲っていませんか?」
山田さん 「ぐるっと囲っています。全部で500m」
森崎 「え~500m!!」
山田さん 「今回は国の補助事業で支給されたモノを 自分達で張ったんです」
森崎 「国から支給されたけど… 設置するのは自分でやってくださいってコト? 設置するのだってお金かかりますよね」
山田さん 「重いし…設置するお金は自分でもちます。 自腹です!」
ガックリ肩を落とす森崎と河野 「ええ~(ガックリ)ゆるくないですね」
山田さん 「これを毎年やっているんです」
金属で出来た頑丈な網のほか、 ナイロン製のネットや電気を流し シカが近づかないようにするものなど 数種類の防護柵を駆使して、 作物を守っているんです。
しかし設置したネットで侵入を防げても 破れたネットは使えなくなってしまい、 また買って張り直さなければなりません。
その経費はほとんどが自己負担です。
こちらは春先、畑に落ちていたオスのツノ。
河野シカよりも体格のよい 150キロのオスシカが走ってきたら…
あぐりっこ「こわいこわい!」
また牛用コーンは芯ごと食べています。
森崎 「どれくらいの被害があったんですか?」
山田さん 「去年は予想収穫量の半分以下ですね。 キレイに無いです」
森崎 「半分も持っていかれたら 牛さんの食べるの無くなったんじゃないですか」
山田さん 「だからデントコーンの実を買って 牛に食べさせています」
森崎 「作っているのにヨソから買ったの…」
山田さん 「いやあ~憎らしいねえ」
涼子さん 「ホントどうしたらイイんでしょうね?」
エゾシカによる農業被害を 目の当たりにしたあぐりっこ。 まずはノートにまとめて、伊吾田先生に報告。
モエリちゃん 「シカは2mくらいの柵を ジャンプして越えるって聞いてビックリした」
先ほど伺った奥仙美里(オクセンピリ)地区では ほとんどの畑に「シカよけの柵」が 張られていましたが、実は今、 東部の山沿いを中心に、 この防護柵が張り巡らされているんです。
伊吾田先生 「シカに包囲されていると思っていいです」
森崎 「ちょっと普通じゃないですね」
ユウマ君 「柵とかもらうけど農家さんが自腹で 設置しなければいけないから お金もイッパイかかるからシカは困るな~」
ちょっと意外かもしれませんが エゾシカを「森の幸」としていただくことが 問題解決の最大のポイント。 ヨーロッパでは「ジビエ」といって、 野生生物の肉を食べる文化があるんです。 北海道でもその食文化を盛り上げて行くことが重要。
伊吾田先生 「シカ肉を食べられるようになるには 流通の体制をシッカリ取るのが重要で、 シカ肉の処理施設が増えればイイと思います」
道では安心安全な野生のシカ肉を 流通させるため、 食肉処理のマニュアルを制定。 それに則って処理されたお肉には 「推奨」が与えられ、 それを十勝で初めて取得した処理場に 佐々木アナが行って来ました。
佐々木アナ 「豊頃町大津にやってきました。 海が近くにあるんですが ココにもエゾシカがいるそうです」
肉の鮮度や衛生面に細心の注意を払い、 近隣の獲物しか扱わないというこちらの会社、 エゾシカの処理からハムなどへの食品加工、 さらに販売までを行っています。
■ELEZO(エレゾ) 住所:豊頃町大津125 電話:0155-75-2211
さてエゾシカのお肉をいただきます~
シェフはエレゾ社の佐々木社長。 今回は会社自慢の加工品と、 家庭で作れちゃう簡単エゾシカ料理を 教えていただきます!
一品目はエゾシカ100%の ソーセージとサラミ。
モエリちゃん 「おいしいです!」
ユウマ君 「ものスゴク肉々しくて美味しい!」
森崎 「美味い!臭みが全く無い! しかも肉本来の味は濃い味で…おいしい!」
お次は野菜タップリのエゾシカスープ。
河野 「セロリとか強い野菜に全く負けない スープの強さみたいなのがスゴイ!」
みんなおいしそうに食べてるシカ肉。 一体どんな栄養が含まれてるのかな!?
天使大学 荒川義人教授 「シカの特徴として脂肪分が少ないんです。 ヘルシーな高タンパクの肉ですね。 それと赤い色が非常に強いです。 これはミオグロビンという色素ですが この成分に含まれる《鉄》は非常に吸収性がよく 鉄を供給するのに良いです。 貧血気味の人にシカ肉は役立つと思います」
そ~だったんだ~ これからは僕も食べてみよっと。
お次はエゾシカのカツレツです。
佐々木「エゾシカのモモ肉です」
あぐりっこにとっては 初めて見る生のエゾシカ肉。 さてその感想は?
モエリちゃん 「赤いね…」
カエデちゃん 「柔らかそうだよね!」
河野 「良い会話ですよね~~」
さてこちらのお二人も-
河野「赤いね!」 森崎「柔らかそうだね!」
では早速いただいてみましょう!
★詳しい作り方はレシピコーナーへ
お味はいかが? 河野 「白い脂身はないじゃないですか。 でもジューシーさと肉の柔らかさと旨さ」 カエデちゃん 「噛んだときに口の中で肉汁が広がって 150点!」
ユウマ君 「パクパクいけちゃう!」
森崎 「今日一日勉強したあぐりっこに 感想を聞きます」
モエリちゃん 「シカは作物を食べたり人に迷惑をかけてたけど それを減らすためにも 自分達がおいしくいただきながらも、 シカを減らしたいと思います」