(NA 森結有花アナウンサー)
牛の美人コンテスト「共進会」に、 青春をささげる若者たちがいます。
帯広農業高校ホルスタインクラブ。 通称ホルクラ。 1年間に7回参加する共進会へ向けて、 牛の手入れや調教を行う、部活動です。 (NA森崎リーダー) 牛が言うことを聞かなくて大変な時も、 よくあるけど…
部員同士でぶつかり合うことも、 たまにあるけれど…
ホルスタインへの愛情と、 仲間との友情が最大の武器!
凄腕の酪農家さんたちと同じ土俵で、 牛の美しさを競い合います!
(森) 4月27日。 ホルスタインクラブは、 今年度1回目の共進会に参加。 結果は振るいませんでしたが、 内容的には大きな手ごたえを得て、 その日を終えました。
ホルスタインクラブ3年 部長 櫻井郁也くん 「惜しかったなあ~」
佐藤柊誠くん「あはは」
櫻井郁也部長 「これは十勝の共進会でも楽しみだよ」
次は5月13日。 十勝最大級の共進会が待っています。
櫻井部長は、5月の共進会へ向けて、 ただならぬ思いを抱いています。
(森崎) 櫻井部長は苫小牧の近くにある厚真町の出身。 高校入学以来、寮で暮らしています。
「いただきま~す」
佐藤柊誠(しゅうせい)君とは、 1年生の時から、酪農科学科、ホルスタインクラブ、 そして寮でも一緒。 同じ時間を長く過ごして、友情を育んできました。
そんな2人は、どうして酪農を学んでいるのかな?
櫻井部長 「自分は中学の時の職業体験で 地元の酪農家さんのもとに行った時に 惹かれました!」
櫻井部長は、農家の出身ではありませんが、 高校1年から実家を離れて農業を学んでいます。 なかなか大胆な進路選択ですよね。
そんな部長のことを、 ご家族はどう思っているのでしょう。 応援しているのか?心配しているのか…?
(森) 5月2日。 櫻井部長は、ゴールデンウィークを使って 里帰りをしました。
裕司さん(父)「宜しくお願いします」
裕司さん「おかえり」
櫻井部長 「ういっす… 言ったっけ?(1年生)何人入部したか?」
裕司さん「10何人?」
櫻井部長「17人!!」
裕司さん 「そんなにみんな牛好きなんだ」
厚真町の実家に到着。
「ただいま~」
裕子さん 「この間のホルクラの大会どうだった?」
櫻井部長 「良かったよ…4頭中だったけど3位!」
櫻井部長 「最近さあ分解のプロジェクト鶏やってるから 授業中、卵メッチャ食える!」
裕子さん「良かったね」
親元を離れて、はや3年目。 ご両親は、櫻井部長をどのような目で 見守っているのでしょう。
裕子さん 「私は子供に早いうちに親許を離れて 厳しい状況の中で成長してほしいなって 思いはあったので大賛成で! なおかつ、やりたいことの為に 少しでも早く夢に近づくような 勉強ができるんだったら なおさらいいじゃないかなって 本当に応援する気持ちで送り出しました」
裕司さん 「命の大事さとか そういうのを一番教えてもらえる学校だと 思うんですよね。農業高校って…。 今の息子を観てて、良かったんだろうなと。 何かあったら…助けようとは思いますけど 特に出る幕はないかな?」
裕子さん「そうですね」
(森) 5月11日。 共進会を2日後に控え、 ホルスタインクラブが活気づいています。
櫻井部長 「今日小さいバリカン充電しておかないと…」 「頭絡(とうらく)は今日の夜確認して 明日忘れないように…」
明後日の共進会は、十勝最大級の規模。 ホルクラは明日から泊まり込みで参加します。
「これからリードマンコンテストを始めます。 エントリーナンバー1。 キムラ・ヨシヒロさん!」
2年生と3年生全員が出場する リードマンコンテストに向けて、 調教に熱が入ります。
(森崎リーダー) これまでの実績では櫻井部長と柊誠君が、 他の部員より一歩リードしているそうです。 そんな二人に意気込みを聞いてみると…
柊誠君 「打倒!部長っすかね!?えへへ」
櫻井部長 「部長として…負けたくないなっていうのは いつもありますね。リードマンやる時は!」
(森) 5月12日、共進会前日。 帯広の隣・音更町にある共進会場、 アグリアリーナ。ホルスタインクラブは、 この日から泊まり込みで 共進会の準備にかかります。
牛舎の中に、牛の世話をする用意はもちろん、 部員が過ごせるスペースも作り、 これから始まる長丁場に備えます。
ホルクラがエントリーしているのは、 牛の品評会では、 子牛と出産経験のある2才の牛の2頭。 そして、リードマンコンテストに6名。
明日の本番まで一丸となって、 牛の世話と手入れの最終仕上げなどを 行うのですが、部員達には 他に楽しみにしていることがあります。
「こんにちは~」
編田(あみた)尚弘 (酪農家-陸別町) 「今から毛刈りの勉強をします。 牛の良いところをより美しく見せる! そして牛の欠点を隠す! という大事なことがあります。 これは1日で出来ることではなくて 普段からバリカンを持って バリカンを自分のものにしなければ すごく練習しなければ上手になりません。 これから毛刈りの勉強会しますが、 見るだけでなくてですね、 今日やったことを高校に帰って牧場で とにかく練習する! ということをしてください。 それでは今からやりますんで 枠の周りにみなさん来てください」
(森崎リーダー) 共進会は、たくさんの酪農家が集まるので、 大切な情報交換の場となっているほか、 若い世代を育てる場でもあるんですね。
編田さん 「ドライヤーの使い方! まずトップライン立てるんで まずドライヤーを全開にして…」
現役バリバリの酪農家が指導してくれる、 貴重な機会です。 ホルクラのみんな存分に学んでいってください!
筥嵜幸さん 「自分これから明日に向けて 仕上げてがあるんですけど ドライヤーの使い方とか 毛刈りも楽しみながら頑張りたいと思います」
日も暮れてきました。
ホルクラの夕ご飯は、わあ~バーベキュー。 美味しそうだし楽しそう!
ただ、ホルクラの長い夜は、 まだ始まったばかりです。
アナウンス 「牛の歩幅に合わせて 人間の歩幅も合わせる」
(森) 夜7時。今度はリードマンコンテストの講習が 始まりました。 牛を引くコツや、コンテストの手順などが 説明されていきます。
講習が一通り終わった時、 ある発表がありました。
編田さん 「今から明日のデモストレーションを… 明日と同じような順位をつけます」
1位を目指し、 部員には絶対に負けたくないと 語る櫻井部長。 そして、 その部長に勝つことを目標としている 柊誠(しゅうせい)くん。
デモンストレーションながらも、 緊張感が伝わってきます。
(森崎リーダー) 結果は、部長も柊誠くんも、 順位のつかない下位グループに入りました。 ただ、これはあくまでデモンストレーション。 明日の本番、期待してるよ!
筥嵜さん「よし行こう女子!」
男子「ご就寝だ!ご就寝!!」
(森) 夜9時。 これから交代制で、 夜を通して牛の世話をします。 牛舎に残るグループと、 仮眠をとるグループとに分かれました。
(森崎リーダー)
寝床は共進会場の会議室だそうですが…
う~ん… 寝心地はちょっとだけ良く無いかも知れないね。 でもね…。
柊誠君「いいって!いいって!」
他の生徒 「近い近い…」 「起きたら柊誠に抱きついてるかも!」 「先輩死んでるかもしれない!朝起きたら」
ほらほら… なんだか楽しそうで安心しました。
(森) ホルクラの闘いは、 すでに始まっていました。
これから本番に向けて、 最後の仕上げ作業に入ります。
来場者 「初めて来てみようかってなって… 牛を見に来ました。 あと美味しいもの、あるかな~って」 「美味しいよ~!でも酸っぱかった!」
ディレクター(牛さん見た?) 「しっぽかわいい~♪」 「しっぽフサフサしてすごいかわいい~」
ホルスタインクラブが出場する クラスの審査が始まりました。
まずは、子牛の部。 部員みんなが、毎日懸命に世話をしてきた牛を 筥嵜(はこざき)さんがリードしましたが、 残念ながら入賞は出来ませんでした。
(森崎) この後は、いよいよリードマンコンテスト。 親友でもありライバルでもある、 櫻井部長と柊誠くんの対決です!
櫻井部長 「なるべく上位とりたいですけど… ホルクラ内では1番とりたいです。 オレ勝つから!」
柊誠くん「どうぞ!あははは」
アナウンス 「L05 帯広市 櫻井郁也さん 高校3年 17歳」 「L06 帯広市 佐藤柊誠さん 高校3年 17歳」
(森) 牛をリードする技術は、 共進会で良い成績を収めるために、 無くてはならないもの。 審査のポイントをお聞きしました。
審査の手順は、 まず歩いている牛と人を見て上位から指名。
その順番に並ばせます。
現在3位まで指名が進んでいます。 続いて指名されたのは…柊誠くん! まずは1次審査で4位に入りました! ヤッター!
(森) 続いて立ち止まった状態を審査。 ここで順位が入れ替わることもあります。
(森崎リーダー) 審査員が、ちょうど柊誠くんの前に来た時です。
ああっ!牛が動いてしまいました!
これはちょっと気まずいぞ…
果たして、審査にどんな影響が出るのか? 隊列を乱したら、ぐるっと一回りして 元の位置に戻るのがルールなんです。
さあ柊誠くん、気を取り直して頑張ろう!
再び歩きながらの審査。 上位から順に歩き始めます。
1位と2位は、そのまま変わらないようですね。 続いて、現在3位の番…
おや?今の審査員のジェスチャーは何でしょう?
櫻井部長 「打倒部長されました…」
柊誠くん「あははは」
櫻井部長「もう部長やめます!」 柊誠くん「いやいや。あはは」
(森)
およそ2週間前…
今年度1回目の共進会で、 大いに手応えを感じていた2歳の牛。
実はコンディション調整に失敗したそうで、 乳房が張り過ぎて機嫌が悪いたみたいなんです。
体型の美しさには自信があったのですが…
柊誠くん 「惜しかったなあ~悔しい!」
櫻井部長 「あと一歩で入賞だったので…」
櫻井部長 「やー暴れてなかったら… いけたかもしれない!」
こうして今回の共進会を終えた、 ホルスタインクラブ。 これからも部員一丸となって、 是非がんばってください!
お・ま・け
櫻井部長「これが次の部長です」
2年生 佐藤祐規くん 「あはは!」
カメラマン「ちょっと花みせて?」
佐藤くん「しおれてるんですよ!」
櫻井部長「カワイイ~!あははは」
---------------------------------- 6月2日のクイズ 「ホルスタインの美人コンテストのことを ○○会と言ったかな?」
正解は「共進会」でした。