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2020年03月07日(土) | ♯560 パラグアイと北海道農業のつながり編
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2020年03月07日(土) |  ♯560 パラグアイと北海道農業のつながり編
2020年2月

(森崎博之リーダーNa)
澄み渡る青空!広大な畑! 
いや~これぞ北海道の農村風景ですね。
おっ何やら作物の収穫が行われているようです!
薄茶色のサヤが沢山実っていますね。
ということは…あれちょっと待って下さい。
大豆の収穫って秋じゃないですか!?
(森結有花アナウンサーNa)
そうなんです!北海道の2月と言えば、
まだまだ雪深い真冬ですよね。
大豆の収穫を行っている「この場所」なんですが、
日本のちょうど裏側にある南米の国、
「パラグアイ」なんです!
パラグアイは、世界を代表する農業王国で、
中でも大豆の輸出量は、世界第4位を誇るんですよ。

(リーダーNa)
へ~そうなんだ!
ん?でも、なぜあぐり王国がパラグアイに?

(森Na)
実は、大豆生産を含むパラグアイの農業の発展に、
北海道が深~く関わっていたからなんです!

日本からの移民が暮らす街、
「イグアス移住地」という場所に、
北海道から海を渡り、
農業を営んでいる生産者がいるんです。
さらに、パラグアイの酪農をサポートする、
北海道の研究者も!

(リーダーNa)
今回のあぐり王国は、
パラグアイの農業発展に貢献する、
北海道移民の暮らしぶり…
そして、農業で繋がる、
北海道とパラグアイの関わりを紐解きます!
(森Na)
ブラジル、アルゼンチン、ボリビアに囲まれた
南米の国「パラグアイ」。

1930年代に日本からの移民が始まり、
現在は国内に、
8000人ほどの日系人が暮らしています。
そんなパラグアイの首都「アスンシオン」から、
車でおよそ5時間の場所に、
日本から移り住んだ人々が暮らす、
「イグアス移住地」があります。
♪足を横に曲げて~斜め前に~♪

(リーダーNa)
おっ!これはラジオ体操ですね~
ちょっと…ココはパラグアイですよね?
(森Na)
イグアス移住地の中心部にある、
イグアス日本語学校。
1961年に設立され、
現在、小学1年生から中学3年生までの
児童と生徒116名が、日本語教育を通じた
日本の伝統文化や習慣などを学んでいます。
先生「他に漢字分かる人?」
児童「晴れ!」「天気、晴れる!」
(リーダーNa)
漢字の読み書きの授業だね!
お~スゴイ! 字キレイじゃない!
ちゃんと書けてる!

先生「見ないで書けるまで書いて下さい!」

書き取りをする児童「いちにいさん…」

2020年03月07日(土) |  イグアス移住地!
(森Na)
イグアス移住地には、
大きな鳥居を構える神社やお寺など、
異国の地でありながら、
日本情緒溢れる施設が点在しています。
さらに市街地のスーパーマーケットを覗いてみると、
日系移住者が暮らす街ならではの食品も、
数多く販売されているんですよ。
(リーダーNa)
棚にあるこの商品は…
梅のふりかけ…梅の塩漬け!?
そしてコレは~味噌って書いてある!
そしてそして…これはまさかの納豆ですね。
まるで日本のスーパーに来ているみたいですね。
(森Na)
200世帯を超える日系移住者が暮らす
イグアス移住地の総面積は8万7千ヘクタール。
畑作や牧畜など、農業を基幹産業とするこのエリアは、
パラグアイ最大の大豆産地です。
そんなイグアス移住地に北海道から移り住み、
農業を営んでいる方がいます。
白澤 彰一(シロサワ ショウイチ)さんです。

(リーダーNa)
どうもどうも!はじめまして!!
え~とココは大豆畑ですよね?

白澤さん
「大豆をいつ頃刈れるか見に来たんです。
 これで天気がおいつけば、
 明日の昼ぐらいから刈れるか…
 それでもまだちょっと柔らかいです」
(森Na)
62年前に夕張から移住してきた彰一さん。

現在、親族(甥:雄二さん、正人さん、秀幸さん)と共に
イグアス移住地にある広大な畑で、
大豆やトウモロコシなどを生産しています。
目の前に広がる大豆畑を含め、
彰一さんが管理する畑の総面積は、
何と700ヘクタールもあるんです!
白澤さん
「これも50ヘクタール、
 向こうにも50ヘクタール、
 奥の方にも50ヘクタールある。
 特別広いって訳ではないですけど…
 まあこの辺では普通ですよ」


(リーダーNa)
いやいや、笑ってらっしゃいますけども
パラグアイでは一般的…なんでしょうが
正直、広すぎてちょっと想像がつかないですねえ~
サヤが綺麗に色づいている大豆が
実っているということは、
もうそろそろ収穫ですか?

白澤さん
「一応今から5日前に乾燥剤をまいたんです。
 乾燥剤まいて天気上がり次第
 刈ろうと思って今見に来たんですけどね…
 だいたい8月の末ぐらいから植えて
 12月末から収穫なんですよ」
(森Na)
今年は天候不良の影響で
1か月ほど遅れてしまったそうですが、
無事に収穫の時期を迎えたそうなんです。

この畑の広さは50ヘクタール。
収穫は大型コンバインで、
朝から日が暮れるまで数日間にかけて行われます。
彰一さんを含め、
パラグアイで生産する大豆の多くは食用油用で、
油を搾った後に出る大豆粕は、
ヨーロッパなどに輸出され、
家畜用の飼料として使われるそうなんです。

(リーダーNa)
なるほど~
食用が中心という北海道の大豆生産とは
少し違うんですね~
ほかに何か特徴的なことってあるんでしょうか?
白澤さん
「やはり赤土というのは地力が長持ちする。
 だいたい20年肥料なしで作っているんです。
 それから徐々に化学肥料を追加していった。
 それから不耕起(ふこうき)栽培。
 (土を)起こさないで、そのまま植える。
 色々試験してみたらね、
 起こした所も固い所に植えても
 大豆の伸び度や収量はほとんど変わらないです。
 今も不耕起栽培です。
白澤さん
「土壌はものすごくいいですね!」

2020年03月07日(土) |  ジャングルを切り開く…開墾の苦労
(森Na)
遥か遠くまで畑が広がる
イグアス移住地の美しい農業景観ですが
移住当初は、ずいぶん違ったようなんです。
白澤さん
「我々が入って(移住して)20年くらいは
 ここはジャングルだったからね。
 そこをひらいて(開墾して)、
 3~4年かけて大きいブルトーザー入れて
 木の根をとって…」
(森Na)
かつては大木や密林が広がるジャングルだった
というイグアス移住地。
農地開拓のため、
移住者たち自ら開墾を行ったそうなんです。
白澤さん
「帰る夕方道で動物園にいるトラいるしょ。
 トラとばったり会ってね…。
 5メートルくらいの所で!
 動物園のトラとは比べ物にならないくらいキレイ。
 ここは開墾する時は山を焼くんです。
 みんなでタイマツを持って火をつけて歩くんです。
 その時にヒョウやジャガーなどが飛び出てくる。
 出てきて、僕らのほうを見て、
 Uターンして同じ所に戻って行った」
正人さん「まずそうだあと思って…」

白澤さん「あははは…」

(リーダーNa)
いやいや笑ってますけど、笑い話じゃないですよ!
でも、たくさんの移住者のみなさんの苦労によって、
世界有数の大豆産地は築き上げられたんですね~
(リーダーNa)
イグアス移住地のスーパーマーケットに
やって来た彰一さん。何か買い物でしょうか。
白澤さん
「向こうが金物や学用品売り場。
 これはパラグアイ人の主食のパン」

(リーダーNa)
なるほどなるほど…
色々と色んなものが売ってる
店舗だということですよね。
あれ?彰一さんどちらに?
白澤さん
「ここは肉売り場でね、
 いま向こうで豚肉や牛肉とかを加工している」
(リーダーNa)
ふむふむ。たくさんの物が販売している
スーパーってことは分かりましたけど、
でも彰一さん!
そんな裏側まで入っちゃって、大丈夫ですか!?
白澤さん 「今、うちの牧場の豚を持って来て加工している」
白澤さん
「うちで飼ってる豚だから、お客さんは知ってて、
 この豚は間違いないと信用がある!」

2020年03月07日(土) |  先人の思いを忘れない…
(森Na)
実は白澤ファミリー。
大豆生産などを行いながら、
食肉用の牛や豚を育てているほか、
その加工と販売まで行っているんです。
(リーダーNa)
おっ、今度は何の建物でしょう?
屋根の下にチョウチンが吊るされてますね…
看板は「シロサワ」って文字が書いてある!?
(森Na)
白澤ファミリーは、
レストランも営んでいるんです。
食肉加工した牛肉や豚肉は、
スーパーマーケットのほか、
コチラのレストランでも提供されているんです。
(リーダーNa)
でた~これぞ南米料理!シュラスコですね~
鉄の串に刺したお肉を焼いて食べる!
言わばバーベキューのようなものでしょ。
本場のシュラスコ、だあああ~美味しそう!
(リーダーNa)
おっ彰一さん。
スーパーマーケットから移動して、
今度はどこに向かっているんでしょうか?
白澤さん
「十字架がある建物が白澤家のお墓です。
 親父が元気な時にお墓の敷地を買って
 全部建てたんです」
 
(森Na)
こちらの場所は、イグアス移住地日本人墓地。
彰一さんのご両親が眠る、
お墓を見てもらいたいということで、
案内してくれたんです。
白澤さん
「暗くて…大丈夫ですか?
 おふくろと親父です」
白澤さん
「親父が亡くなった時、僕はいなかったけど
 『うちの息子らは俺1人分も出来ない』
 『残念で情けない』と言っていたらしいです。
 あははは(笑)なんせすごいんです!」
(森Na)
移住前は、夕張で農業を営んでいたという
彰一さんご家族。
1958年、南米への移住に夢と希望を抱いていた
父親の決断によって、
ご家族8人、列車と船を乗り継いで、
この地へやって来たのです。
白澤さん
「子供たちも夕張より南米の方がいいと思って…
 親が好きであれば子供も南米の生活が合うだろうと
 考えたんじゃないかなと思うんですけどね。
 僕は大反対して最後まで来たくなかった!
(日本を)出るまでは何とか残りたいと思っていた。 
 でも船に乗ってしまったら覚悟が決まったから」
(森Na)
厳格で仕事熱心だったという父親のもと、
移住当初は、ご家族総出で農地開拓に
明け暮れる日々を過ごし、
大豆や綿花、そしてトマトやトウモロコシ、ゴマなどを栽培。
徐々に営農規模を拡大していきました。

白澤さん
「パラグアイに来て大豆を植えて
 自分でエンジン付きの収穫機を作って
 今のコンバインの最初を60年前に作った!
 その機械を作るのを毎日手伝った」
白澤さん
「それで初めて脱穀機というのを作った。
 それをみんな見に来て
 真似して色んなのを作りましたよね。
 だから(父親は)変わったものを何でも
 先立ってやっていたんです」
(リーダーNa)
パラグアイにおける大豆生産の先駆者が
北海道の方だったなんて…
彰一さん、まさに道産子の誇りです!

2020年03月07日(土) |  異国で農業技術向上を目指す!
(森Na)
イグアス移住地にある
パラグアイ農業総合試験場という施設。
実はココに北海道農業と深い関わりを持つ方が
いらっしゃるということで
お部屋の中にお邪魔させていただきました。
(リーダーNa)
机がいくつか並んでいる事務所の奥に…
あっ、いらっしゃいましたよ!
この方が北海道農業と深い関わりを持つ方
なのでしょうか?
いや?どうも、はじめまして! 
はるばる北海道からやって来ました!!

「遠い所お疲れ様です」

(リーダーNa)
36時間かかりました…
ところでコチラでは、
どんなお仕事をされているんですか?

「帯広畜産大学のパラグアイオフィスです」

(リーダーNa)
えっ!?
パラグアイに帯広畜産大学のオフィスが!?
(森Na)
広大な敷地を有するパラグアイ農業総合試験場に
オフィスを構える帯広畜産大学パラグアイオフィス。
こちらに勤務しているのが、
特任教授の小川公二さんです。
2016年に設置されたパラグアイオフィスでは、
酪農研修や技術指導、成分分析など、
現地の農業技術向上を目的とした活動を
主に行っています。
小川さん
「僕らには2つのミッションがあって、
 今32頭の牛を飼っていて
 日本のホルスタインのような立派な牛じゃなくて
 現地で飼われているような牛を飼って
 良い飼育方法を行って乳量を増やす!
 酪農関連の研修の場所として充実させる目的…」
 
小川さん
「もう1つは、農業普及員さんの知識・技術を
 レベルアップさせて、
 その人達が自分の請け負っている酪農家への
 的確な指導を行えるようにする…
 こうした2つのミッションをもってます」
 
(森Na)
この日は、現地の農業普及員と一緒に
技術指導を行っている
酪農家のもとを訪れるということで、
その仕事ぶりを覗かせていただきました。
小川さん
「この前ここで乳房炎のサンプルを採って
 結果を見てオスカルとどう治療をするか決めたので
 その分析結果をまずは説明します。
 オスカルのいう事をよく聞いたので
 すーごい乳質がグンッとよくなったんです。
 良くなったということで表彰もしてあげようと!」
オスカル「記念になればと思って…」

酪農家「ありがとう!」

(リーダーNa)
農業普及員の指導を通して、
現地の酪農技術向上に励む小川さん。
北海道農業の技術を踏まえた指導を行っている…
ということですが
どんな思いで取り組んでいるんでしょうか?
小川さん
「一緒に考えている…
 こうしたらいいのでは?という
 考え方を共有して
 それを農業普及員の実力にしてもらう。
 こちら人達が受け入れられないと
 立派なことを言っても意味がない。
 こっちで受け入れられることを
 どうやって彼らと共有するか…
 そんなこと無理だと言われたら
 おしまいなんですよ。
 私の役割は彼らの発想をちょっと刺激することかな?
 という感じがしますね」
(森Na)
そんな小川さんと日々向き合いながら
一緒に仕事をする、
現地の農業普及員、オスカルさん。
北海道の酪農や農業技術を、
どのように感じているのでしょうか。

オスカルさん
「日本とパラグアイで違いはあるが、
 生産者と言う観点や飼育の在り方については
 非常に共通する部分があります。
 一方で技術・牛そのもの・気候などに
 違いを感じました」
(リーダーNa)
北海道酪農の魅力を世界中の人たちに、
もっともっと感じてもらえたら嬉しいな~
引き続き、宜しくお願いします!小川さん!!

2020年03月07日(土) |  パラグアイの農業発展を支える
(森Na)
大豆栽培や酪農など、様々な分野で、
北海道の農業技術が導入されている、
南米の農業大国「パラグアイ」。
首都、アスンシオンの市街地には、
現地日系人で組織する農業団体の本部があります。
JA北海道中央会 参事 高橋和則さん
「パラグアイと連携協定を受け3年目を迎えます」

(森Na)
2018年、日系農協中央会は、
農業及び協同組合の発展を目的として、
JA北海道中央会との相互協力協定を締結しました。
北海道からの視察を受け入れや
現地農協の視察協力を行ったり、
北海道での農業研修を実施するなど、
協同組合間の連携や
農業を通じた繋がりを深めています。
日系農業協同組合中央会
参事 ペドロ安田さん
「(北海道で)日本の農協のシステムを学んで
 先進システムや技術でパラグアイで
 普及できるものがあれば取り入れたい。
 今後どう生かしていけるかは
 まだまだ検討していく段階ですね」
(リーダーNa)
多くの日系移民の貢献によって農業発展を遂げている
世界有数の大豆産地、パラグアイ。
夕張から家族で移住して60年が過ぎた今。
大豆栽培の先駆者として歩み続けてきた
彰一さんにとって、
どんな道のりだったのでしょうか。
白澤さん
「僕は全て運が良かったですよ。
 だけど運は黙って来るものではない。
 やっぱり全て自分の努力が必要ですよね。
 それをこれからの人間が
 上手に発展させて欲しいというのが
 一番の頼みですね」
道民へのメッセージ…
白澤さん
「日本ほど大きく儲けはせんです。
 だけども自然条件・生活水準
 全てがパラグアイの方が条件がいい!
 地震もないし、台風もないし、水はおいしい。
 三拍子そろっている。
 お金のたまり具合は本人次第だけど…
 まあお金はあまり気にしない方がいいですよ。
 こういう良い所があると教えたいから
 ぜひ来てほしいです!
 そう思って頑張りますよ。
 次、来た時に胸張って見せられるように!」

(リーダーNa)
彰一さん、ありがとうございました。
またお会いできることを楽しみにしています。

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2月29日のクイズ
「北海道大学で研究しているシードルの原料は、
   どんな果物だったかな?」

正解は「リンゴ」でした。



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