森崎 「新篠津村の田園風景には 心洗われるね~」
佐々木 「道内有数の米どころでもありますよね!」
森崎 「通り過ぎるだけでも この辺はお米がスゴイって印象深いです」
藤尾 「田園風景も広がってますし 新篠津村に来たなって感じがします」
佐々木 「今日はこの新篠津村が米どころ になった理由と歴史を学びます」
森崎・藤尾「…」
佐々木 「新篠津村が米どころになった理由と歴史 そして道内の作物生産も支えている仕組みが この田んぼの地中にある!! ということでみんなで勉強したいと思います」
森崎 「えっ!地中ですか? そんな農業番組、聞いたことない!」
ではさっそく一緒に勉強してくれる あぐりっこのみんなです!
森崎 「みんなは田んぼにゆかりがあるんだよね」
佐々木 「今日集まってくれた4人は お米に関する取材の回で 出演してくれたあぐりっこです」
今回のあぐりっこは、 今年美唄市で「おぼろづき」の米作りを 体験した5年・杉上水涼(ミスズ)ちゃん、 2011年岩見沢市で「ななつぼし」の米作りを 体験した6年・遠藤美沙希(ミサキ)ちゃん。 2012年道南で「ふっくりんこ」の米作りを 体験した6年男子行部匠哉(タクヤ)君と、 合田捷人(ハヤト)君。
過去のあぐり王国で、 田植えから稲刈りまでを体験した4人です。
森崎 「今日は収穫が終わった田んぼに来て お米じゃなくて土の中を勉強します」
佐々木 「実はここは昔々は湿地帯だったんです。 湿地帯、わかるかな? お水がいっぱいあって ジャブジャブしていたんです」 森崎 「ホラやってごらん!ベシャベシャ」
みんなもベシャベシャリアクション。
佐々木 「例えばなんだけど向こうを見てくれるかな? 田んぼと違う風景が広がっているよね。 実はここはぜ~~んぶ あんな風景だったの昔は!」
森崎 「ああいう草が茂ってます… では地面はどうなっていますか?」
佐々木 「水分が多くてジャブジャブなんです」
佐々木 「でもねそういう土地が今は しっかりとお米がとれる土地になりました」
森崎「なったんだなあ~」
藤尾 「それが意外でした。新篠津村は お米を育てるのに適した場所だから 米どころだと思っていたら違った!」
佐々木 「今日はお米を学んできたみんなだからこそ 知識を深められる30分になると思います!」
森崎 「よし、やるか!番組は30分だけど 取材は8時間ぐらいやるぞ!」
さて資料館に入ると黒い物体が ゴロンゴロンと並んでいました。
森崎「何だ何だ。土?泥?」
梅田館長「これが泥炭(でいたん)!」
森崎「なんですか?泥炭って?」
梅田館長 「見た目は土かねんどみたいですけど 実はぜ~んぶ昔の植物です。 植物が腐りかかってそのままずっと 水の中で積み上がってきたんです」
森崎 「土だったら(触ったら)ボロボロになる… これはボロボロというより ベチャベチャです~粘土みたいな感じ!」
藤尾「湿っているんですか?」
森崎「なんか壊れていくって感じ」
藤尾「ホント。繊維が絡み合っている」
ミスズ「さけるチーズみたい」
森崎 「男子2人でこれを持ち上げてみて」
梅田館長「気を付けてよ」
いざ持ち上げようとすると… タクヤ「重いっ」
森崎 「たっぷり水分を含んでいるから重いんだ」
かつて足がぬかるほどの 泥炭地帯だったという新篠津村。 その泥炭層は数千年もの歳月をかけて できたものなんです。
森崎 「これは土の断面を見ているんですね」
これは泥炭モノリスという 堆積した泥炭の標本です。
森崎 「泥炭はすごい地中の奥深くにあるの?」
梅田館長 「この辺は3~5メートル」
藤尾 「けど、それだけ積み重なるってことは すごく昔の土ってこと?」
梅田館長 「一般的に言うと1年に1ミリ積もる 」
森崎 「1年に1ミリずつ植物の残骸が どんどん溜まっていった…」
梅田館長「だから5メートルなら?」
森崎「5000年だ!!」
あぐり一行「へえ~(息をのむ)」
梅田館長 「新篠津村一帯は5~6000年前から 泥炭地が出来始めてきた…」
森崎「地球のスケールを感じるね」
水分を多く含んでいる泥炭層に 作物を植えても育ちません。 そこであるものを泥炭層の上に 運んで来たのです。
梅田館長 「客土(きゃくど)と言って いわゆる普通の土ですね。 山の土やねんどを入れて畑として 使えるようにしたんですね」
藤尾 「ここの上の部分は他から持ってきた?」
梅田館長 「他の土を持ってきた。 このおけげで農業は成り立っている!」
そしてさらに泥炭地を良質な農地に 変える仕組みがあるということで、 見せて頂きました!
藤尾「水槽がある!」
佐々木「これは一体どういうもの?」
梅田館長 「これは土の中にパイプを入れて水を抜く ≪暗渠(あんきょ)≫の 水の流れを説明しているんです」
佐々木「暗きょだって!みんな」
梅田館長 「暗渠の≪渠≫は溝って意味ね」
「暗渠(あんきょ)」は、 地中に埋めた土管やパイプなどの水路で 田畑に浸透した雨水などの水分を 排水する高度な技術なんです。
梅田館長 「いいですか。雨が降ってきました。 水が土の中に染み込みます。 染み込んだのがパイプのそばまで来ます。 するとパイプの継ぎ目から 水が入ります」
あぐり一行「は~~すごい仕組みです」
藤尾 「新篠津村全体が泥炭地だったということは たくさんの水田が今あるってことは この≪暗きょ≫がものすごい距離、 敷いてあるってことですか?」
梅田館長「そうでしょうね!」
タクヤ 「どうやって暗きょを埋めたんですか?」
梅田館長 「溝を掘って、 そこにパイプを並べて土を戻す」
藤尾「どれくらい掘るんですか?」
梅田館長 「80~1メートル20センチぐらい」
藤尾「えっそんなに!」
森崎 「このパイプを埋めるために どのくらい大変だったんだろう… 重機なんてないから…」
梅田館長 「スコップで人力で掘っていた…」
佐々木 「広大な田園風景があるって事は 大プロジェクトが昔に 行われいたってことだね…」
じゃ~ん、もんすけです! 泥炭地を改良して道内有数の米どころに 発展した新篠津村。 戦後まもなく食料の増産を目的とした 『篠津泥炭地開発』と言われる 本格的な工事がはじまりました。
石狩川流域一帯の 広大な農地の排水工事のほか、 山などからの良質な土を運ぶ 「客土(きゃくど)」をするなど、 大規模な開発が行われたんだよ。
美しい田園風景が広がる新篠津村一帯は、 こうした先人達の苦労と努力によって 作り上げられたんだね~!
藤尾 「普段食べていたお米は そんな苦労をして作ったお米なんですね」
森崎 「田んぼの土の中に 大人も子供もビックリするような 秘密が隠されていたとは…」
佐々木 「それでこの暗きょで排水された水は どこに行くんですか?」
梅田館長 「≪篠津運河≫に行きます。 地区の真ん中に幅50メートルほどの 水路が掘ってあるから、その中に流れて それは石狩川に通じているから 石狩川に流れていく…」
森崎「篠津運河って有名な所ですか?」
梅田館長 「あれ?超有名!世界的に有名!」
では暗きょの排水が流れていく、 意外と知られていない篠津運河にレッツゴ~!
佐々木 「新篠津村のお隣・月形町にやって来ました。 ここからは篠津運河についてお勉強します」
篠津運河について運河の管理などを行っている 北海道開発局・中野利尚さんに詳しく 教えて頂きます。
まずはその篠津運河を見学!!
中野さん 「これが篠津運河です。 ぱっと見ると川か?と思います」
森崎「みんな何に見える?」
あぐりっこ「川!」
中野さん 「ベチャベチャだった原野の水を 流している運河です。 そして最終的には石狩川に通じて行く。 全長23.4キロほどあります」
中野さん 「この川の先(上流)に “頭首工(とうしゅこう)”という施設があり 石狩川から田んぼに引くための水を 取ってます」
藤尾「とう…とうしゅこう…??」
では石狩川に設置された その“頭首工(とうしゅこう)”を見学!
目の前に巨大な建造物が見えてきました…
藤尾「あんなスケールでかい?」
森崎「もう巨大マンションじゃん!」
中野さん 「石狩川が非常に大きな川なので そこから水を引くにはそれなりの規模になる」
石狩川に設置される 『石狩川頭首工(いしかりがわとうしゅこう)』は、 月形町や新篠津村など7460ヘクタール、 札幌ドームおよそ1350個分の水田へ水を供給する 国内最大級の施設なんです。 そして今回特別にその中を案内して頂きました。
足元の網目の鉄格子から 悠々と流れる石狩川を見下ろせます。
藤尾「うわあ~高い!」
佐々木「ちょっと下、すごい…」
中野さん 「ここで20メートルあると思います」
あぐり一行「ひえ~~」
森崎「たけ~~」
ハヤト「下みたらダメだ!」
森崎 「足元がちょっとこわいね…」
タクヤ「下みたら怖くなる」
藤尾「だろっだろっ」
さて石狩川を正面に見てみましょう。
森崎 「いや~すごい景色だね。あれは?」
中野さん 「篠津運河とあわせて作った(旧)頭首工です。 古くなって新しい頭首工を作り直したんです」
石狩川頭首工から見る雄大な景色と そのスケールを体感したところで、 一行は続いての場所へ…
さてここからは実際に暗きょ工事を 見学させてもらいましょう。 ご説明していただくのは北海道石狩振興局の 井上秀治さんです。
藤尾 「奥のほうもずっと…すごい広い範囲だ」
森崎「この敷地、全部やるんですか?
井上さん「全部やります」
森崎「あのホースは?」
井上さん 「あれが暗きょ管です。 排水の溝を掘った後に 暗きょ管を埋めているんです」
藤尾 「ってことは掘り出されている 黒い物体は?」
井上さん「泥炭(でいたん)です」
溝をのぞいてみると…
森崎「もうパイプが入ってる~~」
佐々木「結構、深い!」
藤尾「ホントだ!綺麗に掘れてますね」
さてこの暗渠溝はどの位なのか 高さを測ってみると…
森崎 「15センチしか幅がないのに 90センチも掘ってる!」
さてここで井上さんがあるものを 引っ張り上げました。
藤尾 「井上さんが何かを引っこ抜いたら 出てきた~~」
大量の水がドパーっと出てきました。
井上さん 「これは弁なんです。 お米を作るときは水を張りますよね。 その時に水が抜けていくと困りますよね。 その時にはこれで弁を止めるんです。 畑の時には水が溜まると困るので 弁を開けておくんです」
森崎 「弁を開けるとこんなに一気に出るんだ~ 排水おもしれ~」
この水田では暗きょ排水工事のほか、 いくつかの水田を一つにして、 大きな区画に広げる工事も行い、 生産性の向上を計っています。
明治時代から現在に至るまで 土地の改良工事は続けられているんです。
森崎 「先人からずっと取り組み続けている ことじゃないですか~」
井上さん 「そうですね。歴史の一部を私たちが やらせてもらっている…」
森崎 「研究・設備そして農家さんのみなさんの たゆまぬ努力で私たちがいただくお米が おいしくなっていく! すごいことを今日は学んだね!」
さて新篠津村一帯でとれた 農産物を使った絶品料理を頂きましょう。
一行がお邪魔しているのは、 温泉施設『たっぷの湯』を併設する 『道の駅しんしのつ』。 ■しんしのつ温泉たっぷの湯/道の駅しんしのつ 住所)新篠津村第45線北2 ℡)0126-58-3166 営業時間)10時~23時 定休日)毎月第3月曜日(7・8・9月無休) 料金)日帰り入浴大人600円/子供300円
まずは、地元産の『ゆめぴりか』と カボチャやニンジンなどの野菜を一緒に炊いた、 炊き込みご飯から…
タクヤ「おいしい!」
森崎「カボチャめちゃめちゃ甘いね」
佐々木 「これだけの豊かな作物が取れるのは 農地がしっかりしているからこそ! じゃないですか~」
藤尾 「そうか~そう考えるとすべてに 奥行きがでてくるなあ~」
続いて春菊やゴボウ・タマネギなどの野菜を サックサクの衣で包んだかき揚げ。
藤尾 「こんな縦長にどうやって揚げるんですか?」
小岩さん 「そうです!これにはコツがありまして 缶詰の空き缶を使っています」
小岩さん 「油の中に立ててもらって具材を入れる。 そうするとサクサクにプロなみに揚がる!」
≪揚げ方≫ ①底を抜いた缶を縦にして具材を流し込む ②約30秒で缶を抜いて 全体がきつね色になるまで揚げる
藤尾 「これはシーチキンの缶ですか? 桃缶?パイナップル?どれが良いですか」
小岩さん 「ハイ!パイナップルの缶が一番いいです!」
藤尾 「ホンマですか?冗談で聞いたのに!」
さてお味は?
ハヤト「香ばしくって美味しい!」
藤尾「タマネギ甘いっ!」
佐々木「音が良いですよね」
最後はプッチーニと呼ばれるカボチャを器にして 作るプリンのデザートです。
ミスズ 「プリンもプルプルしておいしいけど カボチャもすっごく美味しい!」
佐々木 「さて地中の秘密を探った1日はどうだった?」
タクヤ 「暗きょ排水をすることによって お米が美味しくなるってことがビックリ! だから北海道は米どころになったんだと思った」
森崎 「まだ見ていない北海道の魅力があるでしょう。 これからも一緒に見ていきましょう」
こんにちは週刊あぐりニュースの時間です。 農業に興味があるけど なにから始めたらいいのかわからない…
そんな方におススメのイベント! 「新・農業人フェア」のお知らせです!
今月23日に札幌コンベンションセンターで 行われるこのイベントは「働く」「暮らす」 「学ぶ」「食べる」の4つをキーワードに、 農業を仕事にするということを 理解して頂くためのイベントです。
就農するにあたっての疑問や不安を 相談できる市町村の窓口や、 農業法人就職や農業に関する学校への 進学相談コーナーなど、 様々な情報を聞く事が出来ます。 また農業高校などの物販もあります。 森林のガイダンスも同時開催されます。 会場は入場無料・予約不要で、 どなたでもお気軽にご相談頂けます。 詳しくは北海道農業担い手育成センターまで お問い合わせください。
このイベントをきっかけに、 あなたの農業への関心を 深めてみてはいかがでしょうか? 以上、週刊あぐりニュースでした。
≪新・農業人フェア≫ 日時:11月23日(土)10:30~16:30 (受付は16時まで)
場所:札幌コンベンションセンター 住所:札幌市白石区東札幌6-1
お問い合わせ 北海道農業担い手センター TEL 011-271-2255