(森結有花アナウンサー) ここは北見市立小泉小学校。 3年生の教室では、 ある授業が行われています…
児童 「北見の玉ねぎを買ってくれた方に 手紙を書こう♪」
先生 「みんなが気持ちを込めれば きっと生産者たちの思いも伝わりますから 思いを込めて書いてください」
児童「はい!」
(森崎リーダー) 北見のタマネギなら、僕も買ってます! でも、そんな人たちへの手紙って、 一体どういうこと…?
3年2組担任 佐々木昌和さん 「総合学習の時間で小泉小学校では 【小泉タイム】と銘打ってやってますが 自分たちが住んでいる北見の基幹産業である 玉ネギ栽培を手紙を書く活動を通して 全国の人に知ってもらいたい!」
佐々木先生「誰に向けて手紙を書くの?」
児童「知らない人!」
先生 「確かに知らない人だけど、どんな人だと思う?」
児童「料理屋さん!」
先生「可能性あるね!」
児童 「八百屋さん」「シェフ!」
(森) 北見のタマネギについて学んできた子ども達が、 見知らぬ消費者へ手紙を書き、 産地の思いを届けようという、この取り組み。 子ども達が手紙につづるその思いとは…?
佐々木先生「みんな手紙に何を書くの?」
児童 「農家さんたちの思い!とか」 「北見は日本一の玉ネギ産地!」
タマネギ産地の子どもたちが、 全国の消費者へと書きつづった手紙…
児童 「北見のタマネギを 残さず食べてくれたら嬉しいです!」
タマネギを産地から全国へ、 貨物列車で運ぶベテラン運転士…
運転士「我々にとっても財産みたいなもの」
タマネギと思いを乗せて走る列車…。
ひとつの農作物が結ぶ、
産地と消費地の交流を追いました。
生産者さん 「ハウスの中は日が照ったら30℃以上に なっちゃいますよ…」
タマネギ農家の3代目・米森淳史さん。 小さな頃からタマネギに触れ、 日本一の産地を支えるひとりです。
米森さん 「タマネギで約20ヘクタール作ってますね」
ディレクター 「20ヘクタールっていうと…どれくらい?」
(森) タマネギは、2月の種まきから始まり、 8月から9月にかけて収穫、 それが終わると、畑を起こして、 翌年へ向けたハウスの準備と、 ほぼ1年中、なにかしらの作業が行われています。
さて北見市立小泉小学校では さっそく手紙書きが始まりました。
(リーダー) 生産者の苦労も、タマネギのおいしさも知る、 地元・小泉小学校の子ども達。 ねえねえみんな、手紙には何て書いたの?
児童 「農家の人が頑張っている 気持ちを書きました。 農家の人の思いが、 タマネギが嫌いな人に届けば 頑張って食べなくちゃって言う 気持ちになると思って…」
児童 「農家の人たちはたくさんの人に 食べてもらうために 心を込めてつくっています。 もしよかったら 玉ねぎがどこにとどいたか知りたいので お返事ください」
女の子 「みんなに食べてほしい… でねおいしさを知って欲しい…」
バスから颯爽と降りる子供たち。 駆け出していったのは…
JAきたみらい 北島太さん 「タマネギとジャガイモを集めて 全国各地みんなの食卓に運ぶ施設です。 では、ついてきてくださ~い」
(森) JAきたみらいのタマネギ選果場です。 この日は、出荷される段ボールに手紙を入れ、 箱詰めまでの現場を見学します。
(リーダー) 子ども達は、初めてのタマネギ選果場! 僕も行ったことがあるけど とにかく驚きの連続なんだよね!
北島さん 「ここはタマネギの保管庫になります」
北島さん 「このコンテナ1つに約300キロ入ってます」
児童「えええ」
北島さん「タマネギ取ってみ!」
児童 「でかっ!」「すっごくでかい!」 「ツヤツヤしてる!!」
北島さん 「ガラガラガラ~っていくね!」
児童 「うわ~きた!」「すご~い」
北島さん 「フォークリフトでコンテナを上げて あの上のラインに入っていきます」
北島さん 「ここでブラシかけてるんだよ。 キレイにしてま~す」
児童「回ってる!」「皮が剥けてってるー」
(森) タマネギはまず、 回転ブラシで余分な皮や土を落とすことで、 磨かれていきます。 そこから、人の目と手によって、 腐敗やキズ・形の悪いものなどをはじきます。
児童 「すごい!」 「こんなに多いのに人が手で作業してる!」
(リーダー) 確かにタマネギが次々と流れてくるから、 大変そうだよね~ 北見のタマネギは、こうして品質を保って、 全国へと運ばれているんだね!
JAきたみらいさん 「ここから全国各地に出荷されていきます」
「みんな今日、手紙を書いてきてるよね?」
(リーダー) おっ!いよいよ、みんなが書いた手紙の出番
「みんなが書いた手紙を代表して 入れてもらいたいと思います」
さあ流れてきた玉ネギの段ボールに 手紙が入れられました。
(森) 手紙は、どこへ届くのかを調査する 目的もあるので、 運送会社などの協力のもと、 届く消費地がバラバラになるよう、 この日は5通の手紙が 段ボールへ同封されました。
JAきたみらいさん 「誰の所にとどくか?楽しみですね」
児童 「北見のタマネギは美味しいので ぜひ食べて下さいって書きました」
ディレクター「どこに届いてほしい?」
児童 「青森県です! おばあちゃんおじいちゃんがいるから!」
タマネギ列車。生産量24万トンのうち、 およそ15万トンのタマネギを運ぶ、 重要な輸送手段のひとつです。
タマネギ列車は、 北見から旭川までの区間を結ぶ列車で、 そこから札幌を経由し、海を越え、 全国へと運ばれていきます。
北見市民の方へインタビュー
「地方に行くことがあるけど 市場で北見のタマネギを見ると おっ!北見のあるぞ!って思う」
「北見って書いてあるタマネギの箱を見ると あそこで作ってるのが、 ここに運ばれてるんだ!って思う」
「タマネギ列車があることによって みなさんに美味しいタマネギをお届けできる」
(リーダー) タマネギ列車は、北見の皆さんにとって、 誇らしい存在なんですね。
タマネギ列車の運転士のひとり日野章夫さん 運転士歴40年以上になる大ベテランです。
日野さん 「これは単弁と言って機関車だけのブレーキ。 これは貨車にも機関車にもかかる自動ブレーキ。 これはノッチ、アクセルだね。 これは逆転機で前進後進の切り替え… 以上、そんなもんだね(笑)」
(リーダー) 北見のタマネギにとって、 大切な役割を果たしている、運転士さん。 どんな思いで、運転しているんでしょうか?
日野さん 「長年運転してきたらね… 今年の収穫量はどうなのかなって 畑を見るようになったよね」 久保田 新一さん 「ここ何年かは水害があったとかさ すごく被害が多いでしょ。そうなると 今年は大丈夫かな?と思うよね」
日野さん 「この品物をきちっと流通ルートに乗せる。 それを正しく運行して定時について… そういう責任感は大きいよね、運転士は。 貨物は財産だからね。 会社にも生産者にとっても… 我々にとっても財産みたいなものだから 大事にして持って行かないといけない…」
「財産を運ぶ思い」…。 タマネギも生産者も嬉しい言葉でしょうね!
日野さん「行ってきます!」
そして今回特別に日野さんと久保田さんが 担当する旭川までの区間、 タマネギ列車への同乗を許可して頂きました。 お邪魔します! なんかちょっと緊張しますね~
久保田さん「はい!それでは発車します」
日野さん「はい発車!宜しく頼みますよ!」
ピーーーーッ
(森) 午後7時、いよいよ北見駅を出発。 およそ5時間をかけ旭川へと向かいます。 タマネギと子ども達の手紙をのせた 長い旅が始まりました。
日野さん 「4ノッチくらいで固定しておこうかい?」
久保田さん「大丈夫みたいです!」
日野さん 「じゃあ切ります。 あとは滑ったら言ってください」
久保田さん「はい了解!」
カンカンカンカン…
ガタンゴトンガタンゴトン
ブワアアアアアアン
タマネギ列車は力強く進みます。
日野さん「シンちゃん滑るかい?」
久保田さん「大丈夫!」
日野さん「滑ったら言ってください」
(リーダー) 出発してから30分。 こんな風に無線で細かくやりとりしてたんだ。 息の合った運転が必要なんですね~
日野さん「よ~しOK!」
(リーダー) シカですか!? どうやら線路の近くに2頭いるようなんです。
久保田さん「無線聞いた?」
日野さん 「下りの運転士から情報入った!」
慣れているのでしょうか? 日野さん、落ち着いてます。 報告のあったポイントが近づくと、 少し速度を下げて運転します。
日野さん 「いた!いた!」
ディレクター「逃げた逃げた!」
突然現れたシカでしたが、 落ち着いて対応した日野さん。 こういった野生動物との接触事故は、 貨物にも影響するので、 細心の注意が必要なんだそうです。
そして出発から5時間後…。 定刻通り、旭川に到着しました。
日野さん 「ハンドマイクもここで終了します。 どうも長旅ご苦労でした!」
(リーダー) 日野さん運転お疲れ様でした! これで無事、任務完了ですね。
多くの消費地へと届けられた北見のタマネギ、 そして子ども達の手紙。 こちらのお店も、その中のひとつです…。
「箱開けたら入ってて… あれ~?何だろうって… 初めてだったから。 して開けてみたらビックリして 感激しちゃって…」
「早速返事を書かなきゃと思って…」
茨城県で70年近く青果業を営む小田木正道さん。 野菜と一緒に手紙が入っていたのは、 今回が初めてだと言います。
いつも購入している北見のタマネギですが、 子ども達の手紙によって、 改めて心を動かされた小田木さん。
そして手紙は青果店だけではなく飲食店にも…
満田さん 「何と言っても甘い! この甘さが、 かき揚げの材料として欠かせない!」
(リーダー) いや~おいしそうな天ぷらそばですね! 同じ茨城県にある道の駅にも、 手紙が届いたんですね。
満田さん 「このような手紙… みなさまがどのように料理をしているのか ということを知りたいと書いてありました」
産地の思いを込めて、 タマネギの段ボールに同封した手紙は、 受け取った消費地に、 うれしい変化をもたらしました。
きっと同じことが、 全国各地で起こっているのかもしれません…。
(森) タマネギと一緒に手紙が同封されてから、 1か月後-
北見の小泉小学校を訪ねました。
佐々木先生「よいしょっよいしょっ!」
佐々木先生 「全国各地のみなさんから お返事が…届きました!」
児童「うおおお~」「ヤッター」
(リーダー) 子ども達うれしそ~! 良かったね~ 返信を待ち望んでたんだよね。
佐々木先生 「ヒユウ君に届いた手紙です」
児童「おおおお」
佐々木先生 「東京の小学校で栄養士をしています。 ヒユウさんが手紙を書いてくれたから 東京にある金富小学校の3年生は とても喜びました! 北見市のことも地図やインターネットで 調べています」
児童「えええ~」
佐々木先生 「ヒユウさんのおかげで みんながタマネギを好きになりました。 どうもありがとう」
子どもたち 「うおおおお~~」
パチパチパチパチ
「すごい!」「すごいねえ」
(森) 実はほかにも、 全国各地から50通以上の返信が届きました。
タマネギを通して、 自分達の活動が日本中に広がったのです。
立ち上がって 一斉に手紙に群がる子どもたち。
「大阪府!」
手紙を読んでみる子 「これからも美味しいタマネギをお願いします」
手紙が届いてどう思った? 「まさか東京に届くとは思わなかったから… あんな大きい所に届くなんて信じられない!」
「色んな所に届いて… 北見のタマネギは みんなに愛されているんだなって 思いました」
「気持ちが伝わって 返事がくるのは嬉しい!」
さらにハガキ以外にも 嬉しいサプライズがありました…。
佐々木先生 「実は最初、1箱届いたんです。 その後で 『足りなかったんじゃないですか?』って もう1箱きたの!」
児童「ええええええ~」
子ども達に届いた箱。 実は、茨城県の小田木さんが、 地元の特産品も知ってほしいと、 サツマイモを送ってくれました。
児童 「めっちゃ長い!」 「食べた~い♪」
(リーダー) 一通の手紙が、
産地と消費地とを固い絆で結びました。
素晴らしい取り組みで 子ども達に素晴らしい 思い出ができたみたいですね。
日本一のタマネギ産地の 熱い思いと、そして誇りが 子どもたちにも受け継がれますように… ---------------------------------- 1月20日のクイズ 「節分のイベント「豆まかナイト」が開催される、 十勝の町はどこだったかな?」
正解は「本別町」でした。